平成27年6月定例会本会議 議事録

◆小柳 聡 

このたびの選挙にて新しく北区選挙区から選出されました民主にいがたの小柳聡です。これから先未来の新潟市を考えたとき,人口減少問題など私たちの世代に課せられた課題は大変厳しいと感じていますが,私もまだ28歳,若者世代の声をしっかり市政に届けるため,この議会の場を通じまして,活発な議論をしていきたいと考えています。どうぞよろしくお願いします。(拍手)
それでは,通告に従いまして地方版総合戦略,広報戦略,放課後児童クラブの3つのテーマについて質問していきます。
初めに,地方版総合戦略についてお伺いします。
まず1番目に,本市総合計画であるにいがた未来ビジョンと地方版総合戦略との関係性についてお伺いします。国のまち・ひと・しごと創生法案の成立に伴い,地方創生が最重要課題となっている昨今ですが,地方自治体においても地方版総合戦略策定が要請され,本市も急ピッチで策定作業に入っていると伺っています。本市においては,本年4月に新潟暮らし奨励課を新設し,人口減少問題に本腰を入れて取り組んでいるところに市長の地方創生に対する意気込みを感じることができます。しかし,昨年策定した総合計画であるにいがた未来ビジョンと現在策定中の地方版総合戦略との関係性について,少し整理が必要な印象を受けました。本市においては,昨年度にいがた未来ビジョンを策定し,本年4月から8カ年での計画を立て,計画実行のため動き出したばかりの状況です。本年2月定例議会において,地域・魅力創造部長が地方版総合戦略の必要性について,にいがた未来ビジョンの方向性を踏まえた筋の通った戦略により,人口減少の克服と地方創生を本市から先導できるよう取り組んでいきますと御答弁されています。にいがた未来ビジョンに基づいて行政部局は既にさまざまな施策を打ち出し,動き出していますが,また新たに地方版総合戦略をつくることで,市の職員の方々がどちらの方向を向いて仕事をすればいいのか,混乱を来すのではないかと危惧しています。本市総合計画であるにいがた未来ビジョンと地方版総合戦略との関係性について見解をお伺いします。
2番目に,新潟市の実施してきた施策による本市の人口動態への影響についてお伺いします。
本市における地方版総合戦略においては,2040年ごろの長期的視野に立った新潟市人口ビジョンを策定し,そのビジョンを踏まえ地方版総合戦略を策定すると伺っています。長期的な人口ビジョンを踏まえた上での計画策定は,当然のことであると考えますが,その前提には当然今までの新潟市の実施してきた施策が本市の人口動態にどのような影響を与えてきたのかという総括が必要なものと考えます。平成26年度までを対象とした新潟市の総合計画である新・新潟市総合計画内の記載によりますと,交流人口の拡大や産業振興に努め,都市型産業を初めとした雇用の場を創出するとともに,教育環境の充実による若年層の流出の防止,都市と田園が共存するゆったりとした住環境づくりなどの諸施策を総合的に展開するとともに,社会増のさらなる増加を見込み,平成27年における人口を82万2,000人と想定しますとの記載があります。この諸施策がどのように本市の人口動態に影響してきたのかを総括を踏まえた上で地方版総合戦略策定が必要になってくるのではないでしょうか。本市として,どういった総括をしているのか,見解をお伺いします。
3番目に,新潟市人口ビジョンの内容を地方版総合戦略策定にどのようにして反映させていくのか,お伺いします。
新潟市人口ビジョン,地方版総合戦略について,それぞれ策定スケジュールを確認したところ,ともに10月末完成を目指すとのことでした。本来であれば長期的な視点で策定する新潟市人口ビジョンの内容を受けて,短期的な戦略である地方版総合戦略を策定するというスケジュールになるかと思います。しかし,現在この2つの計画は同時並行で策定作業が進められており,これでは長期的な視点での人口ビジョンを十分に踏まえた上での地方版総合戦略にならないのではないかと危惧しています。戦略をより効果的なものとするためにも,事務局である新潟暮らし奨励課が中心になって,新潟市人口ビジョンと地方版総合戦略をしっかりと連携させていく必要があると考えます。現在同時並行で策定作業を進めている新潟市人口ビジョンの内容を地方版総合戦略策定にどのようにして反映させていくのか,見解をお伺いします。
4番目に,新潟市のすばらしさ,優位性を理解してもらうための比較対照についてお伺いします。
地方版総合戦略の肝とも言える若者の定住人口増加を考えたとき,18歳,22歳人口の話がよく引き合いに出されます。それぞれ若者の進学,就職のタイミングで新潟市を離れてしまう,いわゆる社会的減少をいかに食いとめるか,また新潟市外の人たちに新潟市に定住してもらえる,選択してもらえる町であることができるかが今問われています。また,新潟市を離れ,新潟市外・県外に生活の拠点を構えている人たちも多くいます。地元に帰りたいが,戻ったときに職があるかどうか不安だなど経済的な理由,または住居の理由などからなかなか一歩踏み出せていないという声もよく耳にします。
昨年内閣府が東京在住の18歳から69歳の男女1,200人に実施したアンケートの調査結果を見ますと,約4割もの方々が移住を予定または検討しているという結果が出ています。年代によって移住を考えるきっかけ,移住したい理由はさまざまなようです。今地方都市は,人口減少問題を起因とする多くの課題を持つと同時に,地方創生元年と言われるように,多くの可能性も持っていることは間違いありません。現在策定中の新潟市人口ビジョン,地方版総合戦略は東京一極集中ではなく,地方都市発の流れをつくるかなめの戦略になると考えています。その際に一番考えなくてはならないことは,どういった層に何を訴えるかです。市長が提案されています新潟暮らし創造運動では,東京と新潟市を比較して,新潟市のすぐれている点を認識してもらうということで,新潟市の暮らしやすさを東京と比較している,そういう数字が目立ちます。これは,首都圏に行くかどうか迷っている若者,また新潟出身で現在は首都圏に生活の拠点を移している,そういった方たちを対象に東京か,新潟市かという二者択一の視点に立った戦略だと理解しています。
しかし,全国の人口減少問題に頭を悩ませている自治体も地方への移住を促すため,今さまざまな施策を打ち出しています。今後全国の地方都市が地方移住の希望者を奪い合うという状況がどんどん進んでいくことも考えられます。このように自治体間競争が激化している昨今において,東京と新潟市との二者択一の視点に加えて,例えば金沢市や富山市など,移住候補地として挙げられる他の地方都市も含めた選択肢の中から新潟市を選んでもらえるように,新潟市のよさ,優位性を打ち出していくという視点もこれからは必要になってくると考えますが,見解をお伺いします。
5番目に,中長期的な視点に立った目標値の設定についてお伺いします。
地方版総合戦略の骨格案を拝見しますと,1,地域力・市民力を活かし誰もが安心して暮らせるまちの構築,2,結婚・出産・子育ての一貫した支援による少子化の克服,3,成長産業育成,創業支援などによる雇用創出,地域資源を活かした魅力づくりと発信という3つのテーマを設け,それぞれ施策ごとに政策の基本目標や施策の重要業績評価指標,いわゆるKPIを設定するとの記載があります。子育て,若者の定住など,人口減少問題の根幹を担う問題については,成果が短期間で出ることは考えにくく,長期的な目標を立てつつ中期,短期の目標を立てることが適切なテーマだと考えます。しかし,国のまち・ひと・しごと創生法案の設計で,施行後5年以内に施行の状況について検討を加え,必要な措置を講ずると記載されていることから,地方版総合戦略ではあくまで2015年から2019年までの5年間を対象にした,いわゆる短期計画とされています。本市がこの人口減少問題に正面から取り組み,そしてこの短期計画を実のあるものにするためには,新潟市人口ビジョンの数値に基づいて新潟市として独自に中長期的な視点に立った目標値を地方版総合戦略内に設定することが必要だと考えますが,見解をお伺いします。
6番目に,KPIの数値を見直す仕組み,KPIの目標変更についてお伺いします。
計画を立てたからには,より実効性のあるものにするための仕組みを担保することは,制度設計上とても重要だと考えます。KPIが達成されていない場合に,次年度に向けてどういったアクションが必要なのか,これを見直すことは欠かせません。また,計画策定時と実施時点で状況が変わることも考えられます。その場合,そもそもKPIの数値が適切なのか,見直し作業も必要になってきます。その際に,政策のターゲット層,例えば子育て世代を対象にしたものであれば,当事者の話を反映させるなど,仕組みづくりも必要になってくると考えます。本計画で定めるKPIを達成するために,年度ごとに数値を見直すなどの検討が必要だと考えますが,見解をお伺いします。
また,社会・経済情勢の急激な変化など,状況の変化があった場合,KPI自体を違う目標に変更する必要があるとも考えますが,見解をお伺いします。

○副議長(渡辺和光) 篠田市長。
〔篠田 昭市長 登壇〕

◎市長(篠田昭)

小柳聡議員の御質問にお答えします。
初めに,地方版総合戦略のうち,にいがた未来ビジョンと地方版総合戦略との関係性についてです。
にいがた未来ビジョンは,人口減少,少子・超高齢化という最重要課題を踏まえて,計画期間を8年間として策定した本市の最上位計画です。地方版総合戦略は,人口減少の克服,地方創生を目的とした5カ年の計画で,基本的な課題認識や取り組みの方向性は未来ビジョンと同じものですが,いわゆる産学官金労言の方々からさまざまな御意見を聞き,数値目標や重要業績評価指標,いわゆるKPIを設定することとなっています。現在策定中の総合戦略では,にいがた未来ビジョンをベースに本市の特色や資源を生かし,人口減少克服やまち・ひと・しごと創生に資する新たな施策や具体的な数値目標を盛り込んでいきます。
次に,実施してきた施策が本市の人口動態に与えた影響についてお答えします。
本市は,これまでも企業誘致など雇用増加の取り組みに加え,子育て,教育環境の整備など,市民の皆様にとって安心で暮らしやすいまちづくりを進めてきました。少子化への対応では,一人ひとりが理想とする子供の人数を実際には産み育てられていないという実情から,待機児童ゼロの堅持,こども医療費助成の拡充,保育料の第3子以降の無償化など,子育て世帯の負担軽減に努めてきました。また,就職のタイミングである22歳といった若年層の転出が顕著となっている状況を踏まえ,安定した雇用の場を確保するために,企業誘致や創業支援,農業と商工業の連携による6次産業化への取り組み支援などを行ってきました。さまざまな取り組みにより,首都圏よりは高い出生率となっていることや本県における人口のダムという役割を一定果たしているという点において,これまでの取り組みが一定の効果を上げてきたと考えています。
しかし,22歳人口の首都圏などへの流出をとめ切っていないことは,依然として大きな課題であり,多様な働く場の創出を含めた新潟暮らし創造運動に本格的に取り組んでいきます。

○副議長(渡辺和光) 高橋地域・魅力創造部長。
〔高橋建造地域・魅力創造部長 登壇〕

◎地域・魅力創造部長(高橋建造)

人口ビジョンの内容を総合戦略にどのように反映させるかについてお答えします。
人口ビジョンは,各地方公共団体における人口の現状を分析し,人口に関する地域住民の認識を共有し,今後目指すべき将来の方向と人口の将来展望を提示するものです。その策定に当たっては,人口の動向や将来人口の推計と分析,人口の変化が地域の将来に与える影響の分析,考察を行うとともに,今後実施するアンケート調査をもとに,結婚,出産,子育てや移住に関する意識,希望等について分析をすることで,目指すべき将来の方向と人口の将来展望を示していきます。総合戦略と人口ビジョンの策定は並行して行っていきますが,人口ビジョンは素案段階を含め,アドバイザーの意見などとともに総合戦略に反映させていきます。
次に,新潟暮らし創造運動における他の地方都市との比較についてお答えします。
新潟市では,平成24年度の都市政策研究所による新潟市の幸福度を評価するにおいて,成長期,壮年期,高齢期の3つのライフステージ別に子育て環境や自治会加入率などの指標を設定し,各政令市との比較による幸福度調査を実施しました。新潟市は,各ライフステージ別で上位にあり,総合では1位と評価されています。
一方で,本市からの転出が顕著なのは,進学,就職のタイミングである18歳,22歳といった年齢層であり,その転出先については,東京圏への人口流出が多数を占めています。日本全体での人口減少,全国の地方からの転出先が東京であり,それがとどまらないとなっていますので,主な流出先である東京の暮らしと新潟暮らしを各種データで比較し,それをわかりやすく市内の高校生や大学生に伝えることで,流出の防止につなげ,また東京でのセミナーやホームページなどを通じて情報発信を行うことで,U・Iターンを促進していきます。
次に,独自の中長期的な視点に立った目標値を設定することについてお答えします。
先ほどお答えしたとおり,人口減少,少子超高齢の進展を踏まえて策定したにいがた未来ビジョンは,8年間を計画期間として策定したものであり,本市の中長期の都市像をお示ししたものです。今日の社会・経済状況の変化の早さも踏まえ,総合戦略の計画期間が5カ年とされているものと理解しており,数値目標や施策の重要業績評価指標,いわゆるKPIを設定し,毎年度施策の効果検証を行い,PDCAサイクルを確立することで,効果的な施策を着実に実行していきます。
次に,KPIの数値を年度ごとに検討すること及び状況の変化があった場合,KPI自体を違う目標に変更することについては,関係がありますので一括してお答えします。
まち・ひと・しごとの創生においては,地域課題に基づく適切な短期,中期の政策目標を設定し,総合戦略を着実に実施していくとともに,具体的な数値目標や重要業績評価指標,いわゆるKPIを設定し,PDCAサイクルにより施策,事業の進捗や効果を検証し,改善を行うこととされています。また,状況の変化などにより改善が必要な場合には,原因をしっかり把握した上で,事業の見直しを行うことや総合戦略を改訂することとなっています。現在総合戦略の策定途中であるため,KPI自体を再設定することについては考えていません。今後総合戦略の効果検証に際しては,妥当性,客観性を担保するため,外部有識者の方々などからも広く参画していただきながら,毎年度検証作業を行うことを総合戦略に盛り込み,まち・ひと・しごと創生を着実に推進していきます。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○副議長(渡辺和光) 小柳聡議員。
〔小柳 聡議員 登壇〕

小柳聡

ありがとうございました。
次に,広報戦略についてお伺いします。
まず,行政の戦略的な広報を進めるための組織づくり,制度づくりについてお伺いします。
新潟は,よく世間一般で宣伝下手であると評されることがあります。これは,新潟はすばらしい資源を多く持っているのだが,それを新潟市外,県外の人になかなかうまく伝えられておらずもったいないという文脈で使われることが多いようです。本市は,日本一の水田面積を有し,加えて北区の福島潟,西区の佐潟,西蒲区の上堰潟などの恵まれた水辺空間があり,周囲には多くの自然環境が今も残されています。また,自然環境だけではなく,都市機能も整備されている日本海側最大の都市だと理解しています。人口減少が喫緊の課題である今,交流人口をふやした上で多くの人に新潟の魅力を知ってもらい,その上で定住してもらうよう,本市もさまざまな施策を展開しています。地域の魅力を知ってもらうためには,広報は欠かせません。本市においても,広報課が設置され,日々さまざまな業務に当たっています。他の自治体の事例を見てみますと,自治体の広報戦略を策定し,情報を届ける対象者ごとにどういったツールを活用すべきなのかを定めるなどして,戦略的な広報を実施し,情報を効果的に伝達できる体制の構築を図っている事例も多くあります。また,民間企業では競争環境がより厳しさを増していることで,広報に力を入れている傾向はより顕著なようです。
多くの自治体の広報戦略では,広報を以下3つのタイプに分類しています。外を意識した広報,市民を対象とした広報,庁内を意識した広報など3つのタイプです。外部への広報を考えたとき,例えばシティプロモーション,交流人口の拡大などの諸施策は,広報課,観光政策課,新潟暮らし奨励課,そして新潟市東京事務所などがかかわってくる部署横断的な性格のテーマになります。また,市長が推進している新潟暮らし創造運動も雇用,企業誘致,子育て,暮らしなど多くの要素があり,横断的なテーマを新潟市外・県外の人にPRし,21世紀にふさわしい暮らし方を新潟市から構築していく運動だと市長もこのように述べられています。自治体間競争が激化している時代にあって,選んでもらえる新潟であるためには,現在実施部署が独自に行っている広報を総括する司令塔のような存在を置き,より訴求対象者に届く効果的な広報を実現する必要があると考えます。
IBMが2014年度に発表したスマーター・シティーズ・チャレンジ報告でもCMO,いわゆる最高マーケティング責任者とマーケティングチームを指名し,市のコミュニケーション及びプロモーションを強化することを新潟市に提言しています。
また,市民を対象にした広報についても考える必要があります。近年市民のニーズはますます多様化しています。そういった中で,行政の実施する施策を市民に理解してもらうことは,事業を実施し,その後の市民満足度を高めるためにも不可欠なことになります。昨年の市長選挙で注目を集めた連節バスの問題にしても,例えば行政からの情報発信,そして市民のニーズ理解など,行政と市民との間のコミュニケーションがより密に行えていれば,また違った結果になったのではないかとも考えることができます。そういった意味でも,行政の戦略的な広報を進めるために,本市にも司令塔を置き,広報戦略プランのようなものを策定することが求められていると考えますが,見解をお伺いします。
2番目に,職員に広報について理解してもらうための施策についてお伺いします。
広報をより積極的に進めていくためにも,広報は広報課だけの仕事ではなく,行政職員全てが新潟市の広報担当だという意識がこれから必要になってくると考えます。行政の職員が広報する際に,例えばマニュアルをうまく活用することで,職員がより積極的に効果的な広報をすることが可能になるのではないでしょうか。本市においても,庁内LANにおいて,広報の手引というマニュアルを閲覧することが可能です。内容を確認しますと,他の自治体に劣らぬ立派なものとなっていると理解しました。しかしながら,何人かの職員の方にお話を伺ったところ,マニュアルの存在を御存じありませんでした。せっかくつくったすばらしいマニュアルも,使われなくては宝の持ち腐れとなってしまいます。調べてみますと,平成25年,平成26年はそれぞれ広報研修が1年に1回実施されており,対象者は広報担当者のみという研修でした。今後職員一人ひとりが広報担当者という意識のもと新潟市の魅力を外部に伝えていくことが求められており,職員に広報について理解してもらうための積極的な施策の展開,研修制度の充実等が必要だと考えますが,見解をお伺いします。

○副議長(渡辺和光) 高橋地域・魅力創造部長。
〔高橋建造地域・魅力創造部長 登壇〕

地域・魅力創造部長(高橋建造)

広報戦略についてお答えします。
初めに,戦略的な広報への取り組みについてです。
市民の皆様に市の施策について理解を深めていただくとともに,本市の魅力を市内外の皆様にも広く発信していくに当たり,戦略的に広報やプロモーション活動を展開していくことが重要だと認識しています。これまでも市報にいがたや区役所だより,ホームページ,報道機関向けなどさまざまな媒体を活用して市政情報の発信を行うとともに,首都圏向けには本市東京事務所やサポーターズ倶楽部の協力を得ながらプロモーション活動を行っています。市外,県外の皆様,市民の皆様,庁内に向けて戦略的に広報やプロモーションを進めていくための組織やプランについては,今後具体的に検討していきます。
次に,職員の広報に関する理解と研修の充実についてです。
積極的に広報を進めていくためには,全ての部署において各職員が広報についての基本的な知識を持ち,計画的に実施していく必要があります。そのため広報の重要性や基本的な考え方,広報媒体の活用方法などを記載した広報の手引を作成し,職員がいつでも参照できるよう庁内の電子掲示板に掲載してきました。今後改めて周知を徹底するとともに,内容のより一層の充実を図っていきます。
また,全庁的な広報研修の実施により,職員一人ひとりが適切かつ効果的に情報発信できるよう努めていきます。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○副議長(渡辺和光) 小柳聡議員。
〔小柳 聡議員 登壇〕

小柳聡

ありがとうございました。
最後に,放課後児童クラブについてお伺いします。
まず,昨年度実施した木戸,山の下両コミュニティ協議会への放課後児童クラブの指定管理に伴う課題についてお伺いします。
本年4月1日より児童福祉法の改正により,放課後児童クラブの対象年齢が小学校3年生までから小学校6年生までに拡大となりました。この対象年齢拡大に伴い,放課後児童クラブに在籍する児童数が増加することが予測され,施設整備,支援員等の人員の確保が早急に求められています。また,より多くの地域の方々に放課後児童クラブにかかわってもらうことが児童の健全育成につながるとの認識のもと,本市では平成26年度から公設の放課後児童クラブの管理を新潟市社会福祉協議会に加え,木戸,山の下の両コミュニティ協議会に管理を委託してきました。今後は,他のコミュニティ協議会にも可能な団体には放課後児童クラブの管理を委託,またより多くの地域の人たちに放課後児童クラブにかかわっていただき,地域の子供を地域で見守るモデルとして,地域連携モデル事業を平成27年度から開始していく方針と伺っています。モデル事業実施に当たり,本年度から本市こども未来課が各区の自治協議会に出向き,事業を説明しているとのことです。私が話を伺った北区のあるコミュニティ協議会の会長さんは,最近コミュニティーの仕事がどんどんふえてきて,放課後児童クラブの管理までコミュニティーにできるかどうか不安だと述べられていました。新たな事業を始めるに当たり,不安があるのは当然のことだと思いますので,不安解消のため行政の積極的な関与が求められています。
このモデル事業は,手挙げ方式とのことですので,多くのコミュニティ協議会が手を挙げてくださり,地域で子供を育てるという理念が形となり,子供たちの健全育成が図れればと考えており,そのためにも平成26年度に実施した木戸・山の下コミュニティ協議会でのモデル事業における運営上の課題を他のコミュニティ協議会の皆様にも共有していくことが重要だと考えます。昨年度実施した木戸,山の下両コミュニティ協議会への指定管理に伴う課題をどう捉えているか。また,課題解決のためにどういった対応をお考えか,見解をお伺いします。
2番目に,放課後児童クラブと学校側との連携についてお伺いします。
実際に現場に私が伺い,支援員の皆様方のお話をお伺いしてきましたが,コミュニティ協議会が放課後児童クラブを管理したことで,一番大きな変化があった点は,管理者と話がしやすくなったと,現場の支援員の方はおっしゃっていました。今まで公設の多くのクラブでは,市の社会福祉協議会が新潟市全体の100以上の放課後児童クラブを管理していたため,現場の職員と管理者である社会福祉協議会の担当者との間でコミュニケーションが難しいケースも多々あったとお聞きしています。コミュニティ協議会が管理することにより,より存在が身近になることは,子供を預ける保護者の方にとっても安心できる環境になるのではないでしょうか。また,山の下小学校ではコミュニティ協議会が管理したことにより,放課後児童クラブと学校側との連携が円滑に進み,結果的に学校のグラウンド,体育館などが利用可能となり,子供たちの健全育成にとってよかったのではないかというお話もありました。こういった学校と放課後児童クラブとの連携をいかにとっていくかがコミュニティ協議会の管理委託成功の可否を握っているのではないかと考えます。今後放課後児童クラブと学校側の連携のため,行政として積極的に関与していく必要があると考えますが,今後どういった形で関与していくのか,見解をお伺いします。
最後に,放課後児童クラブにおける特別支援学級の児童への対応についてお伺いします。
木戸・山の下コミュニティ協議会,新潟市社会福祉協議会,本市こども未来課で昨年4回ほど運営協議会を開催したと伺っています。運営協議会では,両コミュニティ協議会が放課後児童クラブを管理する上での問題点等を共有したとのことです。その中で,現場の職員から特別支援学級の児童が来た際の対応で,クールダウンなどをするスペースが必要だという意見が多く出たと伺っています。本年4月1日より児童福祉法の改正により,放課後児童クラブの対象年齢が小学校6年生までに拡大となり,本市においても平成25年から新潟市子ども・子育て会議放課後児童クラブ検討部会の開催を重ね,施設基準等を定めた条例を制定しました。この対象年齢拡大に伴い,放課後児童クラブに在籍する児童数が増加することが予測されています。平成31年には平成26年5月1日の児童数7,375人から1万831人へ46%も増加するという試算を本市で出しています。放課後児童クラブでは,遊び及び生活の場としての機能並びに静養するための機能を備えた区画,1人当たり1.65平米の面積以上を確保することが条例に求められています。
しかしながら,平成27年5月1日時点で51ものクラブではこの基準を満たしておらず,平成31年の予測においても,64クラブ,全体の44%もの放課後児童クラブで基準に満たない環境になることが懸念されると伺っています。こういった状況は,子供の健全育成にとって必ずしも良好な環境とは言えません。また,今後増加するであろう高学年の児童は,低学年の児童に比べ体も大きく,活動範囲も広くなっていきます。そのような状況下で,施設を量的に整備することはもちろんのこと,特別支援学級の児童への対応など,質的な整備が今まで以上に求められると考えますが,クールダウンのためのスペース確保,支援員の確保について,現在の進捗状況,今後の対応方針をお伺いします。

○副議長(渡辺和光) 佐藤福祉部長。
〔佐藤隆司福祉部長 登壇〕

◎福祉部長(佐藤隆司)

放課後児童クラブ地域連携モデル事業についてお答えします。
初めに,木戸,山の下両コミュニティ協議会への指定管理の課題についてです。
昨年度から地域の子供を地域で見守る地域主体運営モデルとして,両コミ協がひまわりクラブの運営を開始しました。運営開始以来,地域と学校と保護者との連携を図り,児童の安心,安全な環境を保ちながら,伸び伸びと過ごせる取り組みが行われており,地域力,市民力を生かした子育て支援の環境が育まれてきていると感じています。学習支援や遠足など,地域の特性を生かした独自活動も取り入れられており,平成26年12月に行った保護者アンケートにおいても満足度は高く,児童や保護者に寄り添った運営が今後も期待されており,コミ協が継続的に運営を行うための支援体制をさらに整えることが課題と考えています。
次に,課題解決の取り組みについてです。
両ひまわりクラブの円滑な運営を進めるため,運営開始とともに運営委員会を設置し,定期的に開催しています。当会議では,両コミ協の事務局及び実際に児童と接する職員,市と市社会福祉協議会が意見を出し合い,情報共有するとともに,課題解決を図る場として活用しています。また,本市の全ての放課後児童クラブの質の向上を図るために,昨年度より行っている情報交換会や研修にも両コミ協が参加しており,放課後児童クラブを運営する他の事業者とも情報共有を図りながら,運営を行っています。本年度実施を予定している放課後児童クラブ地域連携モデル事業の開始に当たっては,運営上の課題について情報共有を図ることが重要であり,立ち上げの経緯や基本的な運営方法について,両コミ協に加え,南区小林コミュニティ協議会が実施する放課後児童クラブの3カ所の取り組みが参考になりますことから,3コミ協の見学や勉強会の機会を設けたいと考えています。先行しているこのコミ協の取り組みが地域での子育てに非常に効果があるということです。今年度のモデル事業により多くのコミ協から応募いただけるよう期待しているところです。
次に,放課後児童クラブと学校との連携についてです。
コミ協におけるひまわりクラブの運営開始に当たっては,市と市社会福祉協議会で必要な支援を行うとともに,必要に応じて学校との橋渡しを行っています。
一方,両コミ協では地域教育コーディネーターがひまわりクラブの運営にかかわったことで,学校との連携がスムーズに行われ,グラウンド,体育館など学校施設の活用が進み,活動の幅が広がっていると伺っています。放課後児童クラブを円滑に運営していくには,学校との連携が欠かせないことから,今後も地域からの求めに応じて必要な支援を行っていきます。
次に,特別支援学級の児童への対応についてです。
障がいのあるお子様とないお子様がともに同じ空間で過ごす望ましい姿がある一方で,ふだん学校では少人数の特別支援学級で過ごすことの多い子供にとって,大勢の子供がいる空間は,大きなストレスを感じる要因とも考えられます。今後狭隘化により整備が必要な施設については,本年度策定した子ども・子育て支援事業計画の5年間でクールダウンのスペースもあわせて整備することとしています。今年度は整備が必要な54カ所中12カ所の整備を行い,整備計画のない既存の施設については,引き続き必要な施設からクールダウンのためのスペースを整備していきます。
また,支援員の確保については個々の児童の状況に応じて必要な支援員を加配しており,現在66人の加配支援員を配置しているところです。今後も指定管理者と協議しながら,必要な支援員の配置を進めていきます。