新潟市議会2月定例議会の最終日 「住民投票条例案」について考える (新潟市の新バスシステム(BRT・連節バス)について住民の意思を問う 住民投票条例(案)について)

本日は新潟市議会の2月定例議会の最終日となりました。

平成28年度新潟市一般会計予算をはじめとする関係議案について採決が行われます。

今回は一般議案のほかに、いわゆる「住民投票条例案」が提案されました。ということもあり、間接民主主義を補完する意味で制度化されている直接民主主義としての「直接請求」をどう考えるか、非常に難しい判断が迫られています。

一方、新バスシステム導入の背景についても、考える必要があります。以下、私なりに整理しました。

(背景)

・バス利用者の減少による赤字路線の増加

・規制緩和により、赤字路線の廃止が相次ぐ(10年間で20%減少し南区、西蒲区で公共交通空白地域の増加)

・バス路線の廃止により住民バス、区バスニーズが増加(=補助金の増加、10年間で5倍へ増加=現在は4億円

※今後10年間で累計100億円と新潟市は試算 推移については、こちらをご覧ください。

・高齢化により、自家用車を運転できず生活が困難な方々の増加

以上の背景から、持続可能な公共交通が必要という部分は、立場に関係なく一致できる部分ではないでしょうか。

これらの問題点に対して、新潟市は平成20年度から関係者をまじえ議論を重ねてきました。そして、効果、コスト、実現可能性などを踏まえ総合的に判断して出した答えが「新バス交通システム」でした。(平成24年に新潟市BRT第1期導入計画が策定)

 

(新バスシステム)

①路線の再編・効率化(乗り換え前提、都市内においてはBRTを導入)

②余ったバスを郊外路線にまわす(郊外路線の維持・拡充、新規路線の設定)

(BRT)

バス・ラピッド・トランジット(Bus Rapid Transit)の略で、連接バス、PTPS(公共車両優先システム)、バス専用道、バスレーン等を組み合わせることで、速達性・定時性の確保や輸送能力の増大が可能となる高次の機能を備えたバスシステム

(国土交通省HPより)

つまり、新バスシステムの一部として、BRTシステムがあります。そして、BRTの手法の1つして、「連節バス」導入というものがあります。

新潟市でも、連節バス導入により、より多くのバスを郊外にまわせるとの視点から、BRTの中に、一部「連節バス」導入を決めました。

以下、新潟市の「連節バス」導入効果の試算です。

 

<バス導入の効果試算>

連節バス4台導入―474本の郊外バス路線の増便、新規路線の3路線設定

連節バス8台導入―539本の郊外バス路線の増便、新規路線の3路線設定

(新潟交通より)

 

コスト、効果の面から、検証が必要だとの視点から、まずは4台を導入することが、議会にて提案され承認されたのが、平成25年でした。

以上が、一連の新バス交通システムをめぐる経緯です。

では、次に「今一体何が問題になっているのか?」を整理してみます。

①乗り換え前提のシステムのため、利便性低下

②連節バス導入の是非(費用対効果)

③連節バスの停車バス停(定時性向上のため、本町を通過)

 

(改善状況)

①朝、夕の時間帯についてダイレクト便を増便(平日は127便増便)

②今後検証が必要(追加で4台購入する計画だが、慎重な検討が必要)

③本町に停車(3月26日の春ダイヤより)

以上のように、状況については少しずつ改善されています。当初問題になっていた、定時性の問題も90%を超えたとの報告がありました。

しかし、依然としてご不便をおかけしている方々が存在していることは間違いありません。そうした方々の具体的な声を反映させ、少しずつ改善させていくことが、現段階で求められているといえます。

春ダイヤの詳細はこちらからご覧ください。

(今後の視点)

・利用者の方々の声をより反映させる仕組みづくり(待っているだけではなく、意見をもらいにいく姿勢)

・今現在の連接バスで十分なのか、増やした方がいいのかは、2~3年運用した後に検証が必要。(すぐに検証することは困難)

・専用走行路設置により、定時制、速達性の上昇が考えられる。(安全性、自家用車の交通渋滞等について検討が必要)

 

<住民投票条例案について>

今回の直接請求の背景には以下のものがあると考えております。

①市民の同意を得ず急激な変化が発生したため、不満が発生

②市長の政治手法の是非(住民目線での丁寧さの欠如)

 

 

(住民投票条例の問題点)

(1)新バスシステムの定義

◆住民投票条例ーBRT・連節バス

◆新潟市①路線の再編・効率化(乗り換え前提)②余ったバスを郊外路線にまわすため

→より効率化させるために「BRTシステム」を採用

→車輌は輸送力のある「連接バス」導入(=より効率化が可能)

つまり、両者ではBRT・連節バスの捉え方が違います。方法なのか目的なのか、この点については誤解なきよう、議論する必要があります。

 

(2)反対が何を意味するかが明確ではなく、意思反映が困難

・「賛成」・「反対」では、利用者の具体的な意見をくみ取ることは困難(=1億5000万円だすことの妥当性

→新潟市中心部の路線を再編・効率化するため輸送力のあるバスは有効(新潟交通より)

 

 

<私の考え>

・市長の強引な姿勢には問題あり

新バス交通システムに対する不安が大きいのは事実であり、深刻に受け止める必要あり(5万9790名の署名は非常に重い)

・将来を見据えた時に、(各区の公共交通を充実させるため)「新バスシステム」は必要

・ただし、方法については、さらなる議論が必要(=連接バスの増加が必要かどうか)

・定着するまでは時間が必要(行政、新潟交通はさらなる丁寧な努力が必要)

・丁寧に利用者の声を聴き、ダイヤ等の改善が必要(アンケートについても検討)

・各区の公共交通の充実化のため加速させる必要あり(生活交通改善プランの実施体制強化)

 

 

 

(参考)

新潟市の新バスシステム(BRT・連節バス)について住民の意思を問う

住民投票条例(案)

(目的)

第1条 この条例は、新潟市の新バスシステム(BRT・連節バス)に賛成か反対かについて、市民の意思を確認することを目的とする。

(住民投票)

 

第2条 前条の目的を達するため、市民による投票(以下「住民投票」という。)を行う。

2 住民投票は、市民の自由な意思が反映されるものでなければならない。

 

(住民投票の執行)

第3条 住民投票は、市長が執行するものとする。

2 市長は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第180条の2の規定に基づき、協議によりその権限に属する住民投票の管理及び執行に関する事務を新潟市選挙管理委員会及び区選挙管理委員会(以下「選挙管理委員会」という。)に委任するものとする。

 

(住民投票の期日)

第4条 住民投票の期日(以下「投票日」という。)は、この条例の施行の日から起算して60日を超えない範囲において市長が定めるものとする。

2 市長は、前項の規定により投票日を定めたときは、選挙管理委員会に対して、速やかに通知しなければならない。

3 選挙管理委員会は、前項の規定による通知を受けたときは、投票日の14日前までにこれを告示しなければならない。

 

(投票資格者)

第5条 住民投票における投票の資格を有する者(以下「投票資格者」という。)は、投票日において公職選挙法(昭和25年法律第100号。以下「法」という。)第9条第2項に規定する新潟市の議会の議員及び長の選挙権を有するものであって、前条第3項の規定による告示の日(以下「告示日」という。)において本市の選挙人名簿(法第19条に規定する名簿をいう。以下同じ。)に登録されている者及び告示日の前日において選挙人名簿に登録される資格を有する者とする。

2 前項の規定にかかわらず、法第11条第1項若しくは法第252条、政治資金規正法(昭和23年法律194号)第28条又は地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方式等の特例に関する法律(平成13年法律第147号)第17条第1項から第3項までの規定により選挙権を有しない者は、住民投票における投票の資格を有しない。

 

(投票資格者名簿)

第6条 選挙管理委員会は、住民投票における投票資格者について、投票資格者名簿を調製するものとする。

 

(投票の方法)

第7条 住民投票は、1人1票の投票とし、秘密投票とする。

2 投票人は、新潟市の新バスシステム(BRT・連節バス)に賛成のときは投票用紙の賛成欄に〇を、反対のときは投票用紙の反対欄に○を自ら記載して投票箱に入れなければならない。

3 前項の規定にかかわらず、心身の故障その他の事由により、自ら記載できない投票人は、法第48条の規定により代理投票を行うことができるものとする。

 

(投票所においての投票及び期日前投票・不在者投票)

第8条 投票人は、投票日の当日自ら投票所に行き、投票しなければならない。

2 投票人は、投票資格者名簿又はその抄本の対照を経なければ、投票することはできない。

3 第1項の規定にかかわらず、投票日の当日に職務従事その他の理由により、投票人自らが投票所へ行くことができないときは、法第48 条の2の規定の例による期日前投票又は法第49条の規定の例による不在者投票を行うことができるものとする。

 

(投票の効力の決定)

第9条 投票の効力の決定に当たっては、次条の規定に反しない限りにおいて、その投票を行った者の意思が明白であれば、その 投票を有効とする。

 

(無効投票)第10条 住民投票において次の各号のいずれかに該当する投票は、無効とする。

1 所定の投票用紙を用いないもの

2 〇以外の表記を記載したもの

3 〇記号のほか、他事を記載したもの

4 「賛成に○」又は「反対に○」を判別し難いもの

5 「賛成に○」又は「反対に○」の両方記載したもの

6 白紙投票

 

(情報の提供)

第11条 市長は、投票資格者の投票の判断に資するため、必要な情報を提供しなければならない。

2 市長は、前項に規定する情報の提供に当たっては、事案についての中立性を保持しなければならない。

 

(投票運動)

第12条 住民投票に関する運動は、自由とする。ただし、買収、脅迫等市民の自由意思が拘束され、又は不当に干渉されるものであって はならない。

2 前項に規定する投票運動の期間は、この条例の施行の日から投票日の前日までとする。

 

(投票及び開票)

第13条 前条までに定めるもののほか、住民投票の投票及び開票に関し必要な事項は、法、公職選挙法施行令(昭和25年政令第8 9号)及び公職選挙法施行規則(昭和25年総理府令第13号)の規定の例によるものとする。

 

(結果の告示等)

第14条 選挙管理委員会は、投票結果が確定したときは、直ちにこれを告示するとともに、市長に報告しなければならない。

2 市長は、前項の報告を受けたときは、速やかに市議会議長に通知しなければならない。

 

(投票結果の尊重)

第15条 市長及び市議会は、住民投票の結果を尊重し、市民の意思が正しく反映されるよう努めなければならない。

 

(委任)

第16条 この条例に定めるもののほか、住民投票に関し必要な事項は、規則で定める。

 

附 則

(施行期日) 1 この条例は、公布の日から施行する。

(失効)   2 この条例は、投票日の翌日から起算して90日を経過した日にその効力を失う。