平成29年2月定例議会 議事録

小柳聡 民主にいがたの小柳聡です。貴重な一般質問の時間をいただきありがとうございます。通告に従い,一問一答形式で質問させていただきます。
本日のテーマは,分権型政令市としての10年の評価についてです。
まず,分権型政令市として歩んできた新潟市の10年の歩みについて議論させていただき,今後どういった方向に進んでいくべきなのか考えていきたいと思います。
合併の話が具体化した10年以上前,当時私は高校生でした。私は旧豊栄市出身です。合併して豊栄の名前がなくなり,新潟市になり,私が大学生の夏休みに帰省したときには新潟市北区になっていました。それが2007年です。
旧豊栄市は,小川竹二市長が1987年から2005年まで5期,市長として,まさに分権型のまちづくりを目指し,コミュニティ制度などを立ち上げ,市民参加のまちづくりを行っていました。しかし,合併の際に,今まであった市民参加型のまちづくりを残しながら,政令市を目指すために合併するという,一見すると二律背反のようなことに取り組む必要性が生じました。その難しい問題へ示された一つの解が,分権型政令市という理念でした。
私が新潟に戻ってきた約3年前,病床の小川さんから改めて,分権型政令市の理念を実現するため頑張ってもらいたいと言葉をかけていただいたことは今も忘れません。この4月には政令市移行10年を迎え,記念式典も行われます。このお祝いをする前に,この10年でどれだけ市民のためのまちづくり,分権型政令市の理念が形になったか,前進してきたかを議論することが,小川さんから言葉をかけていただいた私の一つの役目だと考えています。
合併は,この議場にいらっしゃる篠田市長を初め,職員の方々,そして先輩議員の皆様方を初め,関係者の皆様が大変御苦労され,困難を乗り越えなし遂げた大事業でした。そういった皆様方の御尽力があり,今,新潟市が政令市として歩んでいられることは間違いありません。そういった皆様方にまず敬意を表し,議論していきたいと思います。
(1)として,合併当初に掲げた分権型政令市の意義についてです。
新潟市の近隣市町村との合併は,2001年の黒埼町との合併を皮切りに,2005年には新津市,白根市,豊栄市,小須戸町,横越町,亀田町,岩室村,西川町,味方村,潟東村,月潟村,中之口村と合併。同年10月には,当時の田辺新町長の御尽力もあり,巻町と合併し,81万人都市となり,2007年4月1日,政令市としてスタートしました。
14市町村の非常に難しい合併が成立した背景には,14市町村に本州日本海側初の政令市を実現させたいという共通の強い思いがありました。しかし,合併し,人口規模が大きくなることに対しての不安があったのも事実と聞いています。旧新潟市に投資が集中し,近隣市町村にはお金が回ってこないのではないか。合併前の,住民との距離が近く,きめ細やかな行政サービスがなくなってしまうのではないか。2002年の旧新潟市と近隣11市町村との任意の合併協議会の際には,小川市長から,合併の議論には住民自治の視点が欠けているのではないかという御指摘もありました。
そういった不安に対する選択肢として,分権型政令市という新たな大都市像が提示されました。篠田市長もこの分権型政令市の形を,大きな区役所,小さな市役所というわかりやすいコンセプトで提示されています。区役所には,できる限り予算,権限を区長に移し,地域住民が主人公となって地域の課題を考え,行政と協働のまちづくりを行い,自分たちの町は自分たちでつくるという市民主体のまちづくりを広げていくと,当時,市長も答弁で申されていました。ただ人口規模,財政規模が大きな政令市をつくるのではなく,政令市になり,今まで以上に住民自治が充実し,住民主体のまちづくりが行われる大都市をつくるのが,まさに分権型政令市という理念だと理解しています。
そこで,分権型政令市というコンセプトを掲げた意義について市長はどう考えるか,御答弁ください。

○議長(高橋三義) 篠田市長。
〔篠田 昭市長 登壇〕

◎市長(篠田昭) 小柳聡議員の御質問にお答えします。
本市は,平成の大合併により近隣14市町村と広域合併を行い,目指すべき政令市の姿として,日本海政令市,田園型政令市,分権型政令市の3本の柱を掲げ,平成19年に本州日本海側唯一の政令指定都市となりました。
分権型政令市は,地域のまちづくりに取り組むコミュニティ協議会の設立や,地域と行政の協働のかなめとしての区自治協議会の設置により,住民みずからが地域の課題について共通認識を持って課題解決を図るため,行政と協働でまちづくりを進めていくものです。
当初から,市民の大きな安心感と利便性につながる必要な裁量権を持つ大きな区役所と,都市間競争に打ち勝つ戦略性を備えた専門性,先見性を持つ小さな市役所の考え方のもと,区役所に企画政策部門や産業・建設部門などを設置し,特色ある区づくり予算や区提案予算制度を創設しました。
その後も段階的に財源や体制の強化を図り,区を市政のメーンステージとして,行政区単位で特色ある区づくりを進めることができたのではないかと考えています。
小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(高橋三義) 小柳聡議員。
小柳 聡議員 登壇〕

小柳聡 分権型政令市の意義について確認させていただきました。
次に(2),区主導でのまちづくりの評価に移りたいと思います。
分権型政令市の大きな区役所,小さな市役所という理念のもと,区レベルでのまちづくりがどの程度進んだのかを評価するために,区ビジョンまちづくり計画,特色ある区づくり予算,地域コミュニティ協議会主導でのまちづくり,それらを支える市の職員のあり方の4つの点について,それぞれ評価するため,順次議論していきたいと思います。
まずア,区ビジョンまちづくり計画についてです。
市役所から区役所に権限を移す大きな区役所の理念のもと,窓口業務だけではなく,まちづくり企画部門が区役所に設置され,区レベルでのまちづくりが進む体制が整えられました。
区ビジョンまちづくり計画とは,区におけるまちづくりの大きな方針に基づいて,具体的にどう取り組んでいくのか,まちづくりの具体的な取り組みを計画化したものです。各区の設計図のようなものと思っています。分権型政令市を掲げ,地域の特性を生かした個性あふれるまちづくりを区民と進める上では欠かせない計画です。
この計画は,2年ごとに策定し,進捗管理することになっています。現在は,平成27年度,平成28年度の第1次実施計画が終わりに近づいて,第2次実施計画の策定段階にあると理解していますが,区ビジョンまちづくり計画に基づく各区でのまちづくりの成果をどう評価されますでしょうか。

○議長(高橋三義) 高橋地域・魅力創造部長。
〔高橋建造地域・魅力創造部長 登壇〕

◎地域・魅力創造部長(高橋建造) 本市はこれまで,分権型政令市の実現に向け,区民と行政の協働のかなめとなる区自治協議会を設置するとともに,各区における区の将来像や目指す方向性を示す区ビジョンを策定し,行政区単位の特色あるまちづくりを進めてきました。
こうした本市の取り組みは,他の政令市と比較しても進んだものであると認識しています。
総合計画,にいがた未来ビジョンでは,各区における地域的な視点に基づき,区の将来像や目指す区の姿など,まちづくりの基本的な方向性として区ビジョン基本方針を掲載し,この基本方針に基づいた具体的な取り組みについて,各区で区ビジョンまちづくり計画を策定するとともに,重点的に実施する事業などを示した2年間の実施計画を策定し,取り組みを推進しています。
行政区単位の特色あるまちづくりを推進する上では,区民の皆様と将来像を共有していくことが重要であることから,区自治協議会を初めとする区民との協働で区ビジョンまちづくり計画を策定し,ともに推進することにより,地域の特性を生かしたまちづくりを進め,一体感の醸成を図ることができるものと認識しています。
区ビジョンまちづくり計画第1次実施計画の進捗状況についてですが,平成27年度末時点で,達成及び一部達成の取り組みが8区の平均で約96%となっています。
平成29年度から2年間の第2次実施計画については,にいがた未来ビジョンの第2次実施計画なども踏まえて,現在,各区で策定作業をしています。新年度に各区自治協議会において報告する予定としています。
小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(高橋三義) 小柳聡議員。
小柳 聡議員 登壇〕

小柳聡 達成状況を伺い,評価されているということは理解しました。区民と将来像を共有するということだったのですが,今の御答弁ですと,平成29年度がスタートしてから平成29年度の計画案が示されると理解しました。
同じく,新潟市全体の総合計画,市全体の設計図であるにいがた未来ビジョンは,第2次実施計画案として,今後2年間の計画,そしてそれを実行するための新年度予算案が現在示されています。この2年間は市長の任期と重なりますので,市長が残りの任期で具体的にどういったことに取り組むのかがあらわれたものと理解しています。
一方,区ビジョンまちづくり計画の第2次実施計画は,現状ではまだ議会にも区民にも示されていません。先ほど区民と将来像を共有するという話がありましたが,分権型政令市という観点で考えますと,市民,区民に最も身近な区の今後の計画,区ビジョンまちづくり計画で具体的に何をしていくかが示されずに,予算案のみ今示されているのは大きな問題だと考えています。これからの2年間の計画,何をするかと,そしてそれを実行するための予算案をあわせて示すべきではなかったかと考えますが,いかがでしょうか。

○議長(高橋三義) 高橋地域・魅力創造部長。
〔高橋建造地域・魅力創造部長 登壇〕

◎地域・魅力創造部長(高橋建造) おっしゃるように,区ビジョンまちづくり計画の推進に当たっては,各区それぞれにおいて進行管理を行って,区自治協議会の皆様に報告しながら進めています。
ただ,区ビジョンまちづくり計画に限らず,年度を基本としている各種計画の推進に当たっては,年度末を迎えてから検証,見直しを行っていくのでは空白期間が生じるため,早い段階から,当該年度の進捗を見通しながら翌年度の計画や事業の検討を行っています。
予算の仕組みや行政制度の中で,できる限りその評価を生かしていくような精神にのっとった運用を行っていきたいと考えています。
小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(高橋三義) 小柳聡議員。
小柳 聡議員 登壇〕

小柳聡 ある程度織り込み済みという話もありましたが,ぜひ区民の方が今の計画について何を考えているかということもあわせてヒアリングしながら,次の計画策定に当たっていただきたいと思います。
次にイとして,特色ある区づくり予算についてです。
特色ある区づくり予算とは,区の特色を生かしたまちづくりを区みずからが考え,実行していくため,区内で実施するソフト事業を対象に,区役所に直接配分される予算です。地域独自の取り組みとして,例えば江南区の亀田縞のブランド化,秋葉区の花を使ったまちづくり,里山の活用といったものが挙げられます。
この10年間で一定の成果を残してきたのではないかと考えますが,この10年間の取り組みについてどのように評価されますでしょうか。

○議長(高橋三義) 野島市民生活部長。
〔野島晶子市民生活部長 登壇〕

◎市民生活部長(野島晶子) 特色ある区づくり予算は,ただいま議員がおっしゃったとおり,区の特色を生かしたまちづくりを区みずからが考え,実行していくため,区内で実施するソフト事業を対象とし,区役所に直接配分する予算として,平成19年度の政令指定都市移行時に創設したものです。
区自治協議会の協力のもと,自然や風土,伝統文化など,区が持つ魅力を生かした事業を実施しており,例えば,北区の十二潟ブラッシュアップ支援事業では,地域住民が地元の小中学生とともに水質調査や生態調査を行うなどして潟の魅力の充実を図っており,また,西蒲区ののぞきからくり保存伝承活性化事業では,全国で唯一実演可能なのぞきからくりの魅力を発信するとともに,交流人口の拡大と地域の活性化を図っています。
このほか,区役所が区民の声に迅速かつ柔軟に対応し,区独自の課題解決に取り組むなど,同予算は特色ある区づくりにつながっているものと認識しています。
小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(高橋三義) 小柳聡議員。
小柳 聡議員 登壇〕

小柳聡 評価するということでしたが,一方,課題もあるのではないかというのが私の理解です。どの区にも共通する課題に対して,同趣旨の事業が特色ある区づくり予算として行われている例があるのも事実ではないでしょうか。例えば,子育ての問題は全市的な,どの区にも共通する課題だと思うのですが,さまざまな事業の名前で,各区で特色ある区づくり予算の枠として事業が行われています。全市的な課題については,まず本庁の予算でしっかり対応し,本当に区の特色づくりに寄与するものについて,特色ある区づくりとして予算化すべきで,それが多様な色がある新潟の魅力につながるのではないかと考えますが,この点はいかがでしょうか。

○議長(高橋三義) 野島市民生活部長。
〔野島晶子市民生活部長 登壇〕

◎市民生活部長(野島晶子) 再質問にお答えします。
特色ある区づくり予算では,主に,区が持つ魅力や特性を生かした事業や,区独自の課題解決の取り組みを行っていますが,全市的な課題であったとしても,区民の声に迅速かつ柔軟に対応するため,区長裁量により先駆的に取り組んでいるものもあります。
特色ある区づくり予算で実施する事業のうち,全市的に取り組むべきと判断した場合には,区提案予算制度などの活用により,全市展開を図っています。これまでの例を挙げますと,福祉部の初めての子育て支援事業は,数年前から複数の区が特色ある区づくり予算で取り組み,区役所から福祉部へ事業提案を行った結果,本庁予算として全市展開に至ったものです。
今後も,区役所を起点とした全市的な課題に対する取り組みについては,必要に応じて全市への展開を図っていきます。
小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(高橋三義) 小柳聡議員。
小柳 聡議員 登壇〕

小柳聡 今御答弁いただいたような,モデル的にやり,それが全市に広がるというのは非常にいい例だと思います。今後も続けていただきたいと思いますが,一方,例えば子育ての情報発信は,どの区も同じ課題があってやっているということもありますので,今後,ぜひそこら辺も検討していただきたいということを申し上げます。
次にウ,地域コミュニティ協議会主導でのまちづくりについてです。
合併後,市長の大変強い思いで,市全域に地域コミュニティ協議会が設置されました。地域コミュニティ協議会とは,市民と行政が一緒に地域のまちづくりに取り組み,小学校区,中学校区を基本として,自治会,町内会を中心にさまざまな団体で構成された組織です。
平成20年には議論の末,新潟市自治基本条例が制定されました。その中で,地域コミュニティーの役割を明記し,分権型政令市実現のための土台を条例上も明確にした点は非常に評価できると考えています。
一方で,10年たちましたが,コミュニティーの役割についての理解がなかなか進んでいない事例があるのも事実です。先月,北区では,公民館の事業ですが,地域コミュニティーって何だろうというテーマの講演会が開催されました。その中では,コミュニティーとは何かというところをいまだに模索しているコミュニティーがあることがわかります。
そういった点を踏まえ伺いますが,この10年間でコミュニティ主体のまちづくりがどの程度進んだと評価されますでしょうか。

○議長(高橋三義) 野島市民生活部長。
〔野島晶子市民生活部長 登壇〕

◎市民生活部長(野島晶子) 地域コミュニティ協議会は,市と協働して地域のまちづくりやその他の諸課題に取り組んでいただくため,政令市移行に合わせ設立いただいた組織です。
おおむね小学校区を単位として,現在,市内で99のコミ協が活動しており,それぞれが日ごろから福祉や防災,防犯,子育てなど,地域の課題を把握し,茶の間の運営や子供の見守りなど,解決に向けた事業を積極的に行っているものと考えています。
また,本市が目指す安心政令市にいがたの実現に向け,地域のまちづくりに取り組む主たるパートナーとして大いに活躍いただいています。
小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(高橋三義) 小柳聡議員。
小柳 聡議員 登壇〕

小柳聡 今ほどの答弁の中で,御活躍いただいているとの評価がありました。私も評価できるところは評価できると思いますが,一方,考えなくてはいけないことは,今,コミュニティーの仕事がすごくふえており,それに伴って負担感を感じているという方の話を伺うことがよくあります。負担感を訴えられる背景には,みずからが望んでやっているという感覚よりも,任せられている,お願いされているという感覚があることが想像できます。
行政の方は,協働のパートナーとしてコミュニティーにお願いしたいこと,一緒にやりたいと考えていることが多いのはよく理解できます。しかし本来は,コミュニティーが自主的にまちづくりにかかわるのが原則ではないでしょうか。市からコミュニティーへ依頼がふえることについて,コミュニティーから理解は得られているでしょうか。行政とコミュニティーで,協働について同じ絵を描けているでしょうか。これは,コミュニティ主体でのまちづくりが進んだかどうかを考える上で非常に重要な点だと考えます。この点はいかがでしょうか。

○議長(高橋三義) 野島市民生活部長。
〔野島晶子市民生活部長 登壇〕

◎市民生活部長(野島晶子) 本市としても,議員がおっしゃられたとおり,コミ協の活動は受け身ではなく,能動的,自主的なものであるべきと考えています。
現在,人口減少,そして少子・超高齢化社会を迎える中,行政だけで全ての地域ニーズに応えることは大変難しく,地域力,市民力を最大限発揮していただくことが重要であると考えています。例えば,健康寿命の延伸について,地域ごとの健康度を見える化するなど,今後情報を提供し,共有していくことで,地域がさらに自主的にまちづくりを行っていくための一つの材料にしていただけるのではないかと思います。
また,特にこれからの支え合いの仕組みづくりにおいては,社会福祉協議会やNPO法人,民間企業など,多様な担い手と協働し,その専門性や柔軟性,機敏性などの特性を生かしながら,地域の総力を結集し,まちづくりに取り組んでいただきたいと考えているところです。
小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(高橋三義) 小柳聡議員。
小柳 聡議員 登壇〕

小柳聡 御答弁いただいた,健康度をコミュニティ単位で見せる取り組みは非常に有効だと思いますので,今後そういったコミュニティ単位で情報を出していくという仕掛けもぜひ行政で考えていただきたいということを申し上げます。
次にエ,分権型のまちづくりに求められる職員についてです。
10年前の政令市移行時に,分権型政令市という理念を掲げ,住民と協働してまちづくりを行う以上,市役所の職員の方も,今までの市役所にどしっと構えている,いわゆるお役人といったイメージを変えて,役所の外に出ていくなど,職員のあり方を変える必要がありました。
市長も当時,職員の意識改革について何度か言及されています。平成16年の議会答弁では,分権型職員という言葉を使い,分権型職員とは常に市民の声に耳を傾け,語り合い,市民とともに協働してまちづくりを進めていく職員なのだと答弁されています。
新潟市人材育成基本方針の求められる人材像として,「市民との協働によるまちづくりを進めるため,市民の声を敏感に感じ取り,市民の立場で考え共感すること」が求められているという記載もあります。
そこで伺いますが,市民との協働のまちづくりが核となる分権型政令市にあって,それをサポートする職員の体制,あり方を変える必要がありましたが,この10年間の取り組みの成果,そしてそれをどのように評価されますでしょうか。

○議長(高橋三義) 井崎総務部長。
〔井崎規之総務部長 登壇〕

◎総務部長(井崎規之) 分権型のまちづくりを実現するためには,全ての職員が,地域の主人公は市民であることや,市役所,区役所の果たすべき役割を認識した上で,みずからも地域の一員であると自覚することが基本となります。
これを土台として,地域の実情を的確に理解し,縦割り意識を廃して,住民とお互いに顔の見える良好な関係を築くことで課題解決に取り組むことが重要だと考えています。
そのため,これまで市長と幹部との意見交換や,市長の市政運営についての思いや意思を職員にしっかり伝えることで,職員に対しての意識づけを行ってきました。
また,市政のメーンステージである区では,職員が,地域のまちづくりに取り組むコミュニティ協議会や区自治協議会などと連携し,実践的に市民協働に対する学びを深めています。
さらに,人事配置では,地域貢献意欲の高い職員を希望する区へ配置し,職員が高いモチベーションで積極的に地域とかかわることが市民からの信頼につながっていると感じています。
これらの取り組みを続けてきたことで,協働によるまちづくりの意識が職員全体に根づいたと感じていますが,一方で,人材育成に関してゴールはないものと考えています。
今後も,市民は顧客であり,職員はパブリックサーバントであるとの意識をさらに徹底し,市民との信頼関係をより深めながら,地域に密着したまちづくりを担える人材を育成していきます。
小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(高橋三義) 小柳聡議員。
小柳 聡議員 登壇〕

小柳聡 市長を先頭にされているのはよく理解しています。
そういった中で,人材育成にゴールはないというすばらしい御答弁もありましたが,来年度の市参事のポストとして区役所改革担当が新設されますが,今議論させていただいた,分権型の市民主体のまちづくりを支えるための職員のあり方改革も含めながら,広く区役所改革を担当するという理解でよろしいでしょうか。

○議長(高橋三義) 井崎総務部長。
〔井崎規之総務部長 登壇〕

◎総務部長(井崎規之) 再質問にお答えします。
この4月から配置予定の区役所改革担当の部長については,政令市移行後10年を経過する中で,市民サービスのさらなる向上と効率的な区制運営のために,働き方改革の観点を含め,従来の区役所の業務やその進め方,組織,人事などを一から点検することで,これまで以上に充実した区役所になるよう取り組みを進めていくために設置するものです。
なお,区役所の業務を見直す中で,業務改善などにおいては,市役所,区役所の果たすべき役割を踏まえ,さらなる職員の能力開発等が必要なことから,人材育成にも引き続き取り組んでいきたいと思います。
小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(高橋三義) 小柳聡議員。
小柳 聡議員 登壇〕

小柳聡 今後も人材育成がより進むことを期待します。
(3),今後の分権のあり方についてのア,区への権限移譲についてです。
分権型政令市の実現のため,大きな区役所,小さな市役所を目指し,多くの権限,財源を市役所から区役所に移してきたことは,最初の市長の答弁でも明らかになりました。
区への財源移譲として,区の予算がどの程度なのかが一つの指標となりますが,区への直接配当額は,この10年間を見てみますと一般会計で3%から6%の間。ほかの政令市を見てみますと,1%にもいっていない自治体もある中において,圧倒的に充実していると評価しています。
また,区への権限移譲が十分かどうかを考える上で,そもそも区がするべき仕事は何なのか,そしてそれに必要な区長の権限,役割は何なのかもあわせて考える必要があります。
これらを踏まえ,分権型政令市の理念実現のため,区への権限移譲,今までの取り組みの成果,そして評価をどのようにお考えでしょうか。

○議長(高橋三義) 高橋地域・魅力創造部長。
〔高橋建造地域・魅力創造部長 登壇〕

◎地域・魅力創造部長(高橋建造) 政令市移行当初の区役所においては,先ほど市長がお答えしたとおり,特色ある区づくり予算や区提案予算制度を創設したほか,区役所内部の課未満の組織編成権と,課長補佐以下の人事権などの権限を区長に付与しました。
その後,政令市移行後5年を機に設置した政令市にいがたのあり方検討委員会からの提言を踏まえ,取り組みを進めてきた自治の深化に向けた検討の中で,区役所へのさらなる権限移譲を行ってきました。
具体的には,財源の強化として,特色ある区づくり予算の人口要件などを加味した拡充など,区の特性や意向がより反映されるような見直しを図ったほか,区の独自事業を直接財務部へ提案できる仕組みを設けました。
権限の強化としては,3億円未満の工事執行権限の付与や,引き続き区域内に住所を有する証明などの委任事務の拡充を行いました。
体制の強化としては,区の課長補佐以下の配置権に加え,区役所内の課の編成権を付与しました。
昨年度設置した区のあり方検討委員会では,今後も進む人口減少の中,持続可能な市政運営を実現するため,区の権限強化についても論点の一つとして御議論いただき,これまでの取り組みについては積極的に評価するとの御意見もいただきました。
今後は,効率性の観点も踏まえつつ,自治の深化の取り組みを進める中で,先ほど議員が示された子育て情報の発信のような,本庁が実施すべきものは本庁でといった考え方も取り入れつつ,区役所と本庁の役割分担をより適切に進め,本市にふさわしい区政の実現を目指していきます。
小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(高橋三義) 小柳聡議員。
小柳 聡議員 登壇〕

小柳聡 今まで渡してきた権限,財源について御答弁いただきました。評価はなかったのですが,第三者の評価として,十分ではないかと,積極的に評価する声もあったと理解しましたが,区への権限移譲が十分かどうかを考える上で,先ほど申し上げたように,現行の区長の権限,役割の範囲内で,どう区民の求めていることに対応できているかもあわせて考える必要があります。
現行の区長に求められている仕事は,区ごとに作成された区ビジョンまちづくり計画の方向性に沿ったまちづくりを行うこと,また,区民の声を聞き,課題解決に取り組むことです。区民からは,身近な生活に直結する問題,地域のまちづくりの問題についての対応を求める声が多くありますが,区の仕事の範囲を超えているために,残念ながら,区長に言ってもなかなか変わらないではないかという声が出てしまうのも事実です。
区民にとって生活に密着した問題としては,例えば,北区,南区,西蒲区の3区には病児保育がなく,子育て世代が非常に切実な声を上げているという問題があります。また,ひまわりクラブがすごく狭いというのは,地域の問題ですが,実はどの区にも共通の問題です。また,地域の将来のまちづくりの問題,きのう,きょうと一般質問でもありましたが,江南区の商工会,農業関係者,自治協が一緒になって市街化区域を広げたいという要望を,区長ではなく市長に提出されていると。地域の問題が横断的なために,決裁権はそこにはないという状況です。
こういった区民の求めていることは,どの区にも共通の課題が多く,こういった全市的な課題については,区ではなく本庁の予算で対応する制度設計になっています。ただし,先ほども市民生活部長から御答弁があったとおり,ただ本庁の予算措置を待つだけでなくて,区から提案できる制度として区提案予算制度があります。現状の制度でも,区提案予算制度を使うことで,ある程度は区民の声に応えることができる制度設計になっています。
そこで伺いますが,この区提案予算制度はどの程度活用されているのでしょうか。運用実績がわかればお聞かせください。

○議長(高橋三義) 高橋地域・魅力創造部長。
〔高橋建造地域・魅力創造部長 登壇〕

◎地域・魅力創造部長(高橋建造) お尋ねの区提案予算ですが,課題や取り組みが1つの区に限定されず,全区あるいは複数の区で展開される事業を想定しながら,当初から全市で展開するべきものを全市展開事業,そして提案区で最初に取り組んでから,手法などを確立しながら全区展開を目指す提案区モデル事業に分かれています。平成29年度予算については,4件が提案区モデル事業として採択されています。
小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(高橋三義) 小柳聡議員。
小柳 聡議員 登壇〕

小柳聡 4件が実際に予算化されたということですが,恐らく提案自体はもう少しあったと思います。
区への権限移譲が十分かどうか議論するために,現行の区長の権限,役割の範囲内で,ある程度区民の求めていることに対応できているかの点について確認させていただきました。
もう一つ,権限移譲が十分かどうか考える上で議論しなくてはいけないことは,区長は選挙を通じて選ばれたわけではなく,区制運営について公的に区民から承認をもらっているということではないという状況です。今まで以上に権限,財源を移譲することに,今の制度で問題はないのでしょうか。区長に権限,財源が今以上に移譲されれば,まちづくりのスピードはアップするかもしれません。しかし,その方向が区民の望んでいる方向であるという保証は,今の制度上はどこにもない状況です。
国の有識者会議でも,第30次地方制度調査会では,今以上に権限を区長に渡す場合には,ある程度チェックできるような機能が必要ではないかという議論があります。これ以上権限を区長に渡すのであれば,議会承認のレベルではなくて,区民による承認,今の制度上はできないですが,公選制も必要なのではないかと考えます。
また,権限を移すことありきではなくて,区の役割として何が求められているか,実情に合わせて判断する必要もあります。
そこで,今の議論を踏まえた上で,区への権限移譲について今後どう考えるか,御答弁をお願いします。

○議長(高橋三義) 高橋地域・魅力創造部長。
〔高橋建造地域・魅力創造部長 登壇〕

◎地域・魅力創造部長(高橋建造) 基本的に,行政サービスは住民の身近なところで提供されることが望ましいとは考えています。
一方,効率性を考慮しながら,一定の基準について区がその役割を全うすることもまた基本だと考えています。
そして,歴史,風土などを踏まえた,それぞれの地域に特有の産業振興や地域の居場所づくりなどの事業については,区役所が中心となって,地域の住民の皆様と協働して実施すべきと考えています。
そのような中,人口減少,少子・超高齢社会を迎え,持続可能な行政運営が不可避となっている今,限られた行政資源を効率的に活用していく必要があることから,今ほど議員から御指摘いただいた点を踏まえて,区役所と本庁のより適切な役割分担を考慮しながら,本市にふさわしい区政を実現していきます。
小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(高橋三義) 小柳聡議員。
小柳 聡議員 登壇〕

小柳聡 総合区の議論もいろいろありますが,例えば中央区,東区でこういったことがしたいから,では権限をもう少し渡す必要があるのではないかと,まず何をしたいかというのを前提に区への権限移譲が議論されるべきだと思います。
次にイ,市長の考える真の分権型社会の形についてです。
今まで議論させていただいたとおり,分権型政令市の土台はでき上がっていると確認しました。ここで,次の一歩をどう踏み出すかが政令市新潟のこれからを考える上で非常に重要です。
最近市長は,北東アジアへの拠点都市として新潟市をこれからも伸ばしていく必要があるという話をよくされます。私も新潟のポテンシャルを考えれば,拠点化のための投資,インフラ整備は必要だと思います。一方,合併に至った14市町村の思い,当時の分権型政令市という10年前の原点を忘れてはいけないと思います。
東京などの大都市と経済の規模,量で勝負しても,新潟市はなかなか勝負になりません。この新潟の土地ならではの土着の文化,経済をこれからどれだけつくっていけるか。よく新潟は港町だと言われますが,それだけではありません。山あり,潟あり,川あり,浜あり,そして温泉ありと,地域の個性,特色があふれている,これが新潟の一番の魅力だと考えます。それには,分権型政令市の理念,大きな区役所,小さな市役所のもと,権限を区役所レベルにおろしていき,自分たちの町は自分たちでつくるという意識が育まれる市民主体のまちづくりの原点に立ち戻って,いま一度進んでいく必要があるのではないでしょうか。
市長はたびたび,真の分権型社会の実現という言葉を使っていますが,その真の分権型社会というのが一体何を意味するのか,きょうはぜひ,その真意について明らかにしていただきたいと思います。

○議長(高橋三義) 高橋地域・魅力創造部長。
〔高橋建造地域・魅力創造部長 登壇〕

◎地域・魅力創造部長(高橋建造) 真の分権型社会の実現のためには,先ほどお答えしましたように,区が必要な権限や財源を持ち,住民みずからが地域の課題解決を図る住民自治とともに,地方公共団体が事務及び事業を自主的かつ自立的に執行できるよう,国から権限や財源の移譲を進め,国の関与を必要最小限にする団体自治を確立することが必要と考えています。
しかしながら,現状では国,県からの権限移譲は不十分であり,例えば,国・地方間の税の配分は6対4ですが,国庫支出金や地方交付税など加味した実質的な配分は,その6対4に対し,3対7と乖離しています。
このため,基礎自治体優先の原則のもと,住民がよりよいサービスを受けられるよう,それぞれの地方公共団体がふさわしい事務や権限,財源を持ち,住民の皆様のためにそれを生かしていける姿が分権型社会の姿と考えています。
小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(高橋三義) 小柳聡議員。
小柳 聡議員 登壇〕

小柳聡 今ほどは,国から地方に財源を持ってくる地方分権の話に少し力点を置いて御答弁いただいたのですが,私が伺いたいのは,国から持ってきた財源を生かしてどういった分権型の町をつくっていくのか,今後の姿,方向性についてです。
市長の残りの任期,また,これからの10年を踏み出す上で,分権型政令市を初めからつくってきたリーダーとして,これから分権型社会,もう少し前進していくという決意を市民に示していただきたい。ぜひ市長から御答弁いただけますでしょうか。

○議長(高橋三義) 篠田市長。
〔篠田 昭市長 登壇〕

◎市長(篠田昭) 基本的には自己選択だと思います。みずからの道をみずからが選択し,そしてみずからが切り開いていくことで,そこには今大変厳しい超高齢社会あるいは超少子社会などがありますので,行政だけでは,みずから選択ということになっても,選択する幅が非常に狭いと。地域の皆様,市民の皆様の協力があっての協働の形であれば,より大きな道,より高い志の方向へ切り開いていけるのではないかと。我々,分権と言っていたのは,ほとんど協働とイコールに考えていたので,ますます協働が必要になっていると考えています。
小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(高橋三義) 小柳聡議員。
小柳 聡議員 登壇〕

小柳聡 市長の御答弁の中で,みずからが切り開いていくと,それは行政だけではできないという大事な話がありました。今後も分権型政令市をぜひもう一歩進めていっていただきたいということを申し上げます。
次に2,戦略的広報についての(1),広報戦略課設置の意義についてです。
私は昨年1年間で2回,広報戦略について一般質問で取り上げました。1年間で2回,少し多いという御意見もあると思いますが,広報戦略があるかないかが,今の新潟市の市政運営の根幹にかかわる非常に重要なテーマだと思ったからです。
今,市民のニーズが多様化しており,政策を実施する上で,市民とのコミュニケーションが欠かせません。市の施策について,市民の皆様から理解を深めていただくことも必要です。
また,本市の魅力を市内外に広く発信していくためには,戦略的なプロモーション,戦略的な広報を行うことが重要です。
設置前は,各課がばらばらに広報を行っている事例も散見されました。その結果として,情報を届けたい相手,伝えたい相手に情報が届いていない例が幾つか見られたのも事実です。
市の施策を進める上で,広報,コミュニケーションが土台としてあること,そして都市間競争が激しくなり,対外への広報が求められていることを考えても,広報戦略課が設置されたことは非常に評価したいと思います。
その上でお伺いしますが,広報戦略課設置の意義についてお聞かせください。

○議長(高橋三義) 高橋地域・魅力創造部長。
〔高橋建造地域・魅力創造部長 登壇〕

◎地域・魅力創造部長(高橋建造) 本市における戦略的な広報の基本は,本市の目指すまちづくりの方向性を,具体的な施策や事業を通じて市民や市外の方々にしっかりとお伝えすることだと考えています。
例えば,各区,各地域の宝を磨き上げ,それらを水と土の芸術祭により市内外に発信してきたことが大きな評価を得て,東アジア文化都市2015の指定につながり,さらに東京2020オリンピック・パラリンピック文化プログラムを,本市が全国をリードする形で先導していることをアピールし,文化創造によるまちづくりを推進している新潟の都市像を明確化しましたし,今後も強化していきます。
戦略的な広報は,行政分野にとどまるものではなく,例えば文化創造では,民間からの発案,取り組みであるアート・ミックス・ジャパンを積極的に国などの文化行政関係者に紹介したことで,メキシコへの派遣に結びつけ,新潟の文化創造の力を国内外に発信しました。
さらに,AKBグループが新潟進出を決めたことも本市の戦略的な広報の成果であり,AKBグループの最大イベント,選抜総選挙の新潟開催にも結びつけました。さらに,このイベントを市の関係部署が戦略的に発信したことで,AKB側から,こんなに地域で盛り上げていただいたことはこれまでなかったと評価いただきました。
農業と食文化の面では,付加価値の高い農業の6次産業化,12次産業化へ地道に取り組んできたことが評価され,農業分野での国家戦略特区の指定を受け,多様な民間企業が新潟市で農業に参入しています。農家とシェフ,そして魅力ある風景などの資源をつなげるレストランバスが全国で初めて本市で運行されたことも戦略的な広報の成果であり,バス運行会社の試算では,広告に換算すると1億円以上のパブリシティ効果があり,新潟の食と農を大きくアピールすることができました。
並行して,全国レベル,国際レベルのコンベンション誘致や開催実績を積み上げてきたことで,APECやG7の大臣会合の新潟開催が実現し,食文化創造都市としての本市の実力を世界へ発信できました。
これらいずれの取り組みも,市民が新潟の魅力を再発見,再認識することにつながっているものと考えています。
このようなさまざまな地域の力に光を当て,積み上げることや,施策や事業を複合的に組み合わせることで大きな発信につなげるような取り組み方を,さまざまな事業に広げていく必要があると考えています。
本年度新設した広報戦略課は,本市の目指す方向性に沿ったこのような重点的な取り組み及び各部門の取り組みが戦略的に展開され,的確に発信されるよう,組織全体の広報マインドを向上させる役割とともに,全庁を挙げて効果的,戦略的な広報を展開するための指令塔や相談役としての役割を果たしていくことが設置の意義と考えています。
小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(高橋三義) 小柳聡議員。
小柳 聡議員 登壇〕

小柳聡 今ほどの御答弁の中で,広報は行政だけではなく民間も含めてだというのは非常に重要な指摘だと思います。
また,幾つか成功例があるから,それを広げていくと,それが広報戦略課に求められるということは,私も同意見です。
次に(2),具体的な取り組み状況についてお伺いします。
今ほど,設置の目的についての御答弁があったわけですが,設置から約1年が経過しようとしています。昨年の予算審査で,平成28年度の取り組みの方向性について幾つか答弁がありました。ポイントは4つと考えています。1つは,総合的な広報戦略の立案をしていくという話。2つ目は,職員のプロモーション能力を育成していくという話。3つ目は,各部門の連携について取り組んでいくという話。4つ目として,民間の専門人材といった方に来ていただいて広報戦略をつくっていくという4つのポイントがあったかと思いますが,それぞれの現状の取り組みについてお聞かせください。

○議長(高橋三義) 高橋地域・魅力創造部長。
〔高橋建造地域・魅力創造部長 登壇〕

◎地域・魅力創造部長(高橋建造) 今年度の取り組み状況についてです。
今ほどお答えしたような戦略的な広報が全庁で展開されるよう,広報戦略課でノウハウを蓄積し,広報戦略アドバイザーの助言をいただきながら,事業担当課の支援を行いました。
さらに,こうしたノウハウを全庁で生かせるよう,対外情報発信の強化,市民・域内向け広報・広聴の強化,庁内向け広報体制の強化の3つを柱とした,戦略的広報に関する指針を策定しています。
職員の育成に関する取り組みとしては,職員の広報スキルの育成,支援として,自治体広報戦略についての幹部職員向けの研修のほか,所属長を対象としたソーシャルメディア活用研修を行いました。
また,広報事務に関する知見や情報を全庁で共有できる仕組みづくりとして,各部署が行った施策説明に用いたプレゼンテーション用データを収集し,庁内職員ポータル上で共有するなど,各所属において広報業務に携わる職員の業務支援を行いました。
広報戦略アドバイザーについては,戦略的広報を推進するに当たり,行政広報に関する総合的な考え方や広報実務の具体的手法,そしてプロモーションや海外向け発信などの切り口から3名を委嘱し,指針の策定や市公式ホームページへの助言,プレスリリースをより効果的に国内のさまざまなメディアへ展開するための手法,国内外に向けたPR動画の活用についての提案などをいただいています。
また,市内外に向けたプロモーションとしては,NHKの番組「ブラタモリ」放送直後のまち歩きPRとしてパネル展の開催,大宮駅西口前の巨大ビジョン,デジタルサイネージを活用したさまざまな催しの紹介などを行い,戦略的広報を先導する取り組みを行ってきました。
小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(高橋三義) 小柳聡議員。
小柳 聡議員 登壇〕

小柳聡 今ほどの御答弁の中で,1年目ではあるが,さまざまな取り組みを行ってきたとありました。
また,指針を策定中ということで,恐らく来年度,その指針ができ上がって,本格的に広報戦略課が新潟市の広報戦略に対しての指令塔として動いていくのかなと考えます。
来年が非常に重要かと考えますが,最後に(3),来年度どういったことを行っていくのか,今後の展望についてお聞かせください。

○議長(高橋三義) 高橋地域・魅力創造部長。
〔高橋建造地域・魅力創造部長 登壇〕

◎地域・魅力創造部長(高橋建造) これまで本市が取り組んできた農業と食文化,観光の融合や,東アジア文化都市を初めとするさまざまな文化振興,また国土強靱化や少子・超高齢社会に対応する安心,安全な暮らしづくりなどを土台として,新潟開港150周年や東京2020オリンピック・パラリンピック文化プログラムなどの大きな契機を生かしながら,より効果的,戦略的な発信に取り組んでいきます。
発信力を高めるものとして,国内の多種多様なメディアへ情報を効率的に届ける,インターネットを介した一括配信サービスを活用するとともに,国内,海外へ本市の魅力を訴えていくオリジナル短編動画を作成し,民間からも発信していただく素材としたいと考えています。
あわせて,組織全体の広報力,広報マインドの向上や,各部・区の情報を共有し,全庁的な観点から連携,調整を行う仕組みづくりを行い,全ての部門で戦略的な力を発揮できる組織づくりに取り組んでいきます。
本市が目指す大きな方向性を具体的な形で市民の皆様にお示しする意味合いから,ことしを健康長寿の延伸元年とする取り組みや,安心政令市を実現するための新しい支え合いの仕組みづくり,地域で医療,介護が受けられる地域包括ケアシステムづくりなども戦略的広報の主要な展開分野と考えています。食と農に加え,健康都市にいがたのイメージも国内外へ発信することにより,本市の存在感を高め,本市の目指す方向性や価値観が伝わり,より多くの共感や支持が得られるような,効果的な施策展開と広報に努めていきます。
小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(高橋三義) 小柳聡議員。
小柳 聡議員 登壇〕

小柳聡 都市間競争は今,非常に激しくなっています。より新潟の魅力を,伝えることではなく,伝わることを期待し,質問を終わらせていただきます。(拍手)