平成29年12月定例会本会議 議事録

小柳聡 民主にいがたの小柳聡です。通告に従いまして,一問一答形式で質問します。
今回の主なテーマは財政です。今回,一般質問,23人の議員が立っていますが,そのうち6人の議員の皆さんがこの財政のテーマについて議論されています。私はその6人の最後ですので,もう出し尽くされた点については簡潔に,またまだ議論されていない点については少し深く議論させていただきたいと思いますので,よろしくお願いします。
まず1番,平成30年度予算編成方針及び今後の本市財政への考え方についてです。
平成30年度の財政見通しでは,119億円の不足という数字がひとり歩きして,本市の財政が危機的な状況にあるとの印象を受けます。本当に本市の財政は危機的な状況にあるのでしょうか。予算編成時点で100億円前後の不足が出ているのは,ことしに始まったことではないはずです。財政指標のうち,自治体財政がいかに健全か,安全なのかを示す健全化判断比率では,いずれの指標も早期健全化基準を下回り,積立額の取り崩しも財政予測計画どおり実施しています。これまで,合併建設計画どおりの事業,政令市の土台づくりを実施するため,地方債の発行に加えて,足りない分は基金に頼るという財政運営を行ってきました。しかし来年度以降は,足りない分は借金,基金を取り崩すという今までのやり方は通用せず,身の丈に合った予算編成を行っていく必要があります。その転換点にいるというのが今の本市の正しい立ち位置,正しい認識ではないでしょうか。
これらを踏まえまして,アとして,予算編成時点における一般財源ベースでの不足額の推移,所要財源の推移をまずお聞かせください。また,それらを踏まえての今までの市長の財政運営に対する評価についてもあわせてお聞かせください。

議長(永井武弘) 篠田市長。
〔篠田 昭市長 登壇〕

市長(篠田昭) 小柳聡議員の御質問にお答えします。
予算編成方針作成時の所要財源は,平成28年度が2,222億円,平成29年度が義務教育職員の権限移譲の影響で2,616億円と増加し,平成30年度では2,608億円を見込んでいます。
一般財源ベースでの不足額は,平成28年度が112億円,平成29年度が84億円,平成30年度が119億円と,100億円前後を推移しています。
これまで本市では,大合併以降,合併建設計画については当初の合併財政計画の枠を守りつつ着実に実行し,さらに政令市の土台を強固にする取り組みを構築してきました。一方,基金が減少し,市債残高が増加していることから,昨年度からプライマリーバランスを黒字化するようにかじを切り,持続可能な財政構造への転換を図ってきましたが,これは基金の取り崩しを前提にした軟着陸だったと認識しています。
今後は,基金に頼らず収支均衡を図り,真に持続可能な財政の土台を築くため,全庁を挙げた事業の総点検を初めとする,さらなる行財政改革を進める必要があると考えています。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

議長(永井武弘) 小柳聡議員。
〔小柳 聡議員 登壇〕

小柳聡 次にイ,歳入,歳出の今後の見通しについてです。
まず,歳出についてですが,平成30年度の財政見通しでは,前年度比74億円の増加が見込まれており,今後も増加が予測されています。2020年度からの非常勤職員の給与の見直し,また,あす我が会派の山際務議員が取り上げますが,新潟駅周辺整備事業,国の幼児教育無償化に合わせての市の負担の発生,高齢者の増加による扶助費の増加,公債費の増加など,今後ますます歳出は増加していくということで,本市として自由に使える投資的な要素はますます少なくなっていくことが予測されています。
歳入ではどうでしょうか。国全体では好況感があり,各種経済指標は好景気並みの数字をたたき出しており,ある報道では,平成30年度の国の税収が58兆円台ということで,バブル期以来27年ぶりの高水準になるという見通しも示されています。
しかしながら,そういった状況は本市まで届いていません。本市の財政予測計画でも,平成28年の改定で,市税の税収の伸び率を1.5%から1%にマイナス改定しています。国の税収増加がなかなか本市に届いていないということは,この点でも明らかです。
そこで,歳入,歳出の今後の見通しについてお聞かせください。

議長(永井武弘) 篠田市長。
〔篠田 昭市長 登壇〕

市長(篠田昭) 本市においては,都市部と比べまして景気回復が緩やかであり,市税収入が伸び悩んでいますが,これまで取り組んできた拠点化の推進に加え,開港150周年や2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた取り組みにより交流人口の拡大を図るなど,地域経済の活性化につながる施策を展開し,歳入確保に努めていきます。
歳出においては,引き続き公債費や少子高齢化の進展による扶助費,補助費といった義務的経費が増加するとともに,施設の老朽化による維持補修費が増加していくことから,既存事業の抜本的な見直しを含めた歳出削減にも取り組んでいきます。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

議長(永井武弘) 小柳聡議員。
〔小柳 聡議員 登壇〕

小柳聡 今の状況と今後の見通しについて,まず市長に伺いました。
次の(2)に行きます。歳入はなかなかふえない一方,今の答弁にありましたように,歳出は今後もふえていくという中で,市民の多様化するニーズに応えながら,同時に将来への投資を行いながら,財政規律を守ると。難しいかじ取りが求められるのがこれからの時代です。
予算編成に当たっての基本的な考え方が示され,具体的な動きも見え始めています。ラ・フォル・ジュルネの来年度の休止と,また市長肝いりの文化施策,政策効果が出るまで時間がかかると思われるようなもの,継続が非常に大事だと思われるものについても今回,メスが入った形になります。昨日の一般質問でも,水と土の芸術祭はどうするのかという話もありました。また,Noismのように大事なもの,継続性が重要なものもあります。
そこでアとして,事業をどういった方向性,視点で見直していく方針なのかお聞かせください。

議長(永井武弘) 朝妻財務部長。
〔朝妻 博財務部長 登壇〕

財務部長(朝妻博) 市税を初めとする歳入一般財源の大幅な伸びが期待できない中,収支均衡に向け,年度当初から全事務事業の自己点検,事務事業の個別点検を実施してきましたが,なおも財源不足が生じることから,現在,全分野にわたる事業の休止や廃止を含めたさらなる見直しに取り組んでいます。
見直しに当たっては,他都市に比較したサービス水準の適正化のほか,適正な受益者負担の実施や,類似事業の集約化による整理統合など,全市統一の9つの視点を整理し,事業の必要性を,これまでの手法にとらわれることなく,改めて検証することとしています。
真に必要な事業選択を徹底した上で,限られた経営資源をにいがた未来ビジョンや新潟市まち・ひと・しごと創生総合戦略に係る取り組みに集中することで,収支均衡を堅持した財政運営と,本市の財政目標であるプライマリーバランスの黒字化を図っていきます。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

議長(永井武弘) 小柳聡議員。
〔小柳 聡議員 登壇〕

小柳聡 この点についてもきのうまで議論されていましたので特にありませんが,きのうから市民向けの意見公募が始まっています。報道等でも大きく出ていたのですが,ホームページでなかなかこのページを探すことができませんので,ぜひホームページのトップ画面に出していただいて,幅広く市民の皆さんから意見をいただいてほしいと思います。
具体的な項目について,今ほど総論が終わりましたので,今後の財政運営を行っていく上でどのように考えていくのか,次から議論していきたいと思います。
イとして,人件費等の考え方についてです。
今ほど確認したように,歳入はふえないが歳出はふえていくという状況にあって,人件費等のあり方についても,触れられない領域,アンタッチャブルなものとしてではなく,今後は財政状況を意識した管理が求められていきます。
そこで,臨時職員の人件費も含めた人件費等の近年の推移がどうなっているのか,まずお聞かせください。また,歳入はふえないが歳出はふえていくという厳しい状況にあって,人件費について,今後どのように考えていくのか,この点についてもお聞かせください。

○議長(永井武弘) 井崎総務部長。
〔井崎規之総務部長 登壇〕

◎総務部長(井崎規之) 本市の普通会計における臨時職員,非常勤職員を含めた人件費は,平成28年度決算額で約492億円となっており,平成26年度からほぼ横ばいの状態が続いています。
本市の厳しい財政状況においては,現在の行政サービス水準の維持を前提としつつ,業務のあり方そのものを見直し,超過勤務に頼らない働き方を実現することや,今後も一般職員だけでなく,臨時職員や非常勤職員を含めた総人件費を意識しながら,選択と集中による適正な人員配置を行っていく必要があると考えています。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(永井武弘) 小柳聡議員。
〔小柳 聡議員 登壇〕

◆小柳聡 次にウとして,行政サービス水準を確保しながら,また総人件費を意識するということで,具体的な定員管理の動きとして,新潟市定員配置計画2015というのがありますが,それを見直すということで,今後の方針についてお伺いします。
先日,行政改革プラン2015の中間見直しの提言がありました。職員数の部分については,業務のあり方そのものを見直さない限り,職員数をこれ以上減らすことは困難であると,今ほどの答弁にもありましたが,大変厳しい指摘もありました。提言を受けて,今年度中に職員の定員についての数値目標を設定する予定になっているわけですが,具体的にどのような方向で見直す予定でしょうか。今ほど,総人件費を意識するという言葉がありましたが,例えば人件費について,この程度まで下げるというようなところまで踏み込むような計画になるのか,そのあたりの方向感についてお聞かせください。

○議長(永井武弘) 井崎総務部長。
〔井崎規之総務部長 登壇〕

◎総務部長(井崎規之) 定員配置計画2015の中間見直しに当たっては,厳しい財政状況や働き方改革の推進,臨時・非常勤職員の会計年度任用職員制度への移行準備など,本市を取り巻くさまざまな状況を踏まえて検討する必要があると考えています。
今後の定員配置計画では,これまでの同規模政令市との職員数の比較に加えて,管内人口などに差がある区役所や出張所のあり方や,ICTやアウトソーシングなどを活用した業務の見直しによる効率的な組織運営の観点,また働き方の見直しと総人件費を意識した適正な人員配置などを柱に目標設定をしていきたいと考えています。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(永井武弘) 小柳聡議員。
〔小柳 聡議員 登壇〕

◆小柳聡 職員数については同規模政令市と比較して区役所の職員の数が多いと,きのうも答弁がありましたが,これは分権型政令市新潟の特徴であると思うのですが,業務範囲,職員数の削減,具体的に今どういったイメージで考えているのでしょうか。

○議長(永井武弘) 井崎総務部長。
〔井崎規之総務部長 登壇〕

◎総務部長(井崎規之) 合併,政令市移行により新たに区役所,出張所等を設けたものですが,現在の区役所,出張所に対する職員の配置については,人口や面積,それからコミュニティ協議会の数などといった各区の個々の状況を踏まえて配置したものにはなっていないということです。
このたびの見直しに当たりましては,本庁と区役所の役割分担,それから区役所に求められる権限,機能を十分配慮した上で,業務の平準化,区役所間の平準化といったことを意識しながら,職員配置,組織の見直しに努めていきたいと考えています。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(永井武弘) 小柳聡議員。
〔小柳 聡議員 登壇〕

◆小柳聡 役割分担,区役所に何を求めるのかというところも議論していくということでしたが,分権型政令市のかなめ,イロハのイということで,大きな区役所というものがあります。区にはそれぞれ区ビジョンがあって,区ビジョンまちづくり計画,また地域課が中心になって区づくりを行っているというのが本市の特徴の一つです。
また,ほかの政令市の区役所と違うところとして,窓口部門だけではなく,企画部門についても区役所に配置しているのが特徴だと思うのですが,そのあたりについてはどのようにお考えでしょうか。

○議長(永井武弘) 井崎総務部長。
〔井崎規之総務部長 登壇〕

◎総務部長(井崎規之) 議員お話しのとおり,大きな区役所を標榜し,区政の推進を図ってきた本市にとりまして,企画部門の配置や産業振興部門の配置が他都市に比べて特徴的な点だと思っています。特に企画部門になります地域課については,地域との協働のかなめとして,自治協議会やコミュニティ協議会とのかかわりや,特色ある区づくり予算などを通して区政を主導する部署でもあります。こういった業務を通しての機能,役割については必要なものと思っていますが,業務そのものや業務の手法,それから職員配置,組織的なあり方については例外なく見直し対象としながら,引き続き果たすべき役割,機能は果たしていきたいと思っています。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(永井武弘) 小柳聡議員。
〔小柳 聡議員 登壇〕

◆小柳聡 要は区役所に何を求めるかといった話と関連してくると思います。区のあり方検討委員会が終了して提言を出されたという中で,短期,中期,長期,それぞれ課題がありますよねということがありました。今言ったような話ですと,やはり中期,長期の課題に分類されてくるものなのかと。特にきのう市長から答弁があった区の数など,まさに長期の課題だと思いますが,そういった中で,市長がきのうの答弁で,そろそろ次のステップに切り込むべきだと,首長としてその方向で先頭に立つべきという思いを新たにしたという発言をされているわけですが,その大きな区役所というのも合併する上での大前提ですので,そこに対して市長がこれから真剣に取り組むということであれば,これから一,二年の話ではないと思うのです。そういう意味で,決意を持ってきのう語られたと思いますが,そのあたり,市長,改めてここに取り組むという決意をお聞かせください。

○議長(永井武弘) 篠田市長。
〔篠田 昭市長 登壇〕

◎市長(篠田昭) 区役所の人数,住民の数など,大きな差があるわけですが,我々が大きな区役所と言っているのは,権限をできるだけ区に持ってもらうということが一番のポイントで,ずうたいが大きいのが大きな区役所ではないということは前から申し上げています。そういう観点から,業務の平準化など,出張所なども物すごく業務量の差があるという状況ですので,それらを市民の皆様にもしっかりごらんいただいて,方向性を決めていきたいと思っています。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(永井武弘) 小柳聡議員。
〔小柳 聡議員 登壇〕

◆小柳聡 今おっしゃったように,確かに職員の数が多ければ大きな区役所というのは誤りで,要は区民の皆さんが区役所に何を求めているか,それを達成することができる区役所が大きな区役所だと思いますので,ぜひ市長,そこにしっかり道をつけるなり,また市長がそこに切り込むなり,先頭に立っていただきたいと思います。
次に(3),基金の考え方についてです。
今回の予算編成で今までとの一番の大きな違いは,やはり基金残高です。わかりやすく貯金と評されることもあるわけですが,貯金にも幾つか種類があります。1つは普通の貯金,何かあったときに使うためのもの。もう一つは,借金を返すため積み立てている貯金です。前者を財政調整基金,後者を減債積立基金と考えることができます。
行政の貯金は,額が多ければ多いほどいいというものではありません。市民の皆さんからいただいた税金ですので,市民の皆さんに行政サービスとしてしっかりお返ししていかなければなりません。行政サービスの量をふやせばふやすほど支出はふえますので,貯金をする余裕はなくなります。一方,災害など予測しない事態が発生したときに対応するため,一定程度の貯金も必要で,このバランスが非常に難しく,重要なわけです。
では一体,どの程度の貯金があれば十分なのでしょうか。そこで,まずアとして,一般的な貯金である財政調整基金についてお伺いします。
現在33億円,額が少ないと言われており,新年度は5億円積み立てる計画になっているわけですが,そもそもどれぐらいの基金の額があれば安心できる額と言えるのでしょうか。この基準なしになかなか議論できないというところがありますので,財政調整基金の規模,額はどのぐらいが適切と考えているのかお聞かせください。

○議長(永井武弘) 朝妻財務部長。
〔朝妻 博財務部長 登壇〕

◎財務部長(朝妻博) 財政調整基金の適正規模については,御指摘のとおり明確な基準はありませんが,災害などの年度途中の財政需要や少子高齢化への対応などを考えると,一定額を確保しておくことが必要であると考えています。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(永井武弘) 小柳聡議員。
〔小柳 聡議員 登壇〕

◆小柳聡 その一定額というのは,どの程度をお考えでしょうか。

○議長(永井武弘) 朝妻財務部長。
〔朝妻 博財務部長 登壇〕

◎財務部長(朝妻博) かつて合併財政計画において,300億円超の基金の残高について,200億円程度使いますが100億円程度残りますという計画を立てたことがありました。これも一つの考え方ではないかと思っています。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(永井武弘) 小柳聡議員。
〔小柳 聡議員 登壇〕

◆小柳聡 確かに財政予測計画でも100億円前後まで積み立てるという計画はあるわけですが,今ほど答弁いただいたように,ある程度の基準がないとなかなか議論もできないと,どれぐらいお金を使っていいかも計算できないというところがあると思います。企業でいえば法定準備金ですか,債権者を保護するため一定程度しっかり留保しましょうという額を決めていたりします。また,横浜市,神戸市,福岡市といったところでは,財政調整基金条例の中で一定額というか,剰余金の2分の1程度は積み立てましょうという指針もしっかり示しているわけです。本市は条例を見てもその指針がないということで,今ないのであれば,そういった指針,方針についてこれからしっかり議論を進めていくべきだと思いますが,改めていかがでしょうか。

○議長(永井武弘) 朝妻財務部長。
〔朝妻 博財務部長 登壇〕

◎財務部長(朝妻博) 今お話のありました条例上の積み立ての考え方というのは,地方財政法に規定されているところの決算上の剰余金の処理ということだと思いますが,現在,本市においては,その剰余金は翌年度に繰り越した上で補正財源として使わざるを得ないという状況になっていますので,積み立てのルール以前に,まずは収支均衡を図るという財政構造の転換のほうが先かと考えています。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(永井武弘) 小柳聡議員。
〔小柳 聡議員 登壇〕

◆小柳聡 実際問題,そういった財源がないのでできないというのは確かに理解できるのですが,今後も積み立てていくということははっきりしているわけなので,そこはしっかり議論して,方針を決めていただきたいと思います。
次にイとして,借金を返すために積み立てている貯金,減債積立基金についてです。
今ほど,基金が少ないという話がありました。主要3基金の話だと思いますが,借金を返すための積立金,減債積立基金については本市はしっかりと積み立てており,基金残高も十分にあるわけです。
国は,減債積立基金に積み立てる額などの積み立てのルールについて一定の基準を示しています。借入金をしっかり返すための財源を確保することは自治体経営の根幹であるため,しっかり計画的に積み立ててほしいという意図によるものと考えられます。国は,市債発行額の3.3%を30年かけて積み立てましょうという一つの方針を示しています。一方,本市は,初めの3年間は積み立てずに,4年目から市債発行額の6%を20年かけて積み立てましょうというルールをとっています。つまり,本市のほうが1年当たりに積み立てる金額は大きいということ。また,ほかの自治体より,借入金を返すための積み立てを短期でしっかり行っているということになります。
しかし,財政がこれだけ厳しい状況にあって,国のペース以上に,必要以上に積み立てをしていることが果たして今の財政状況に合っているのかという点については議論が必要ではないでしょうか。積み立てのために必要な事業を行えず,市民サービスが低下してしまっては本末転倒です。今,厳しい事務事業の見直しが行われているわけですが,場合によっては,積み立てのルールを国基準のほうに少し寄せて,毎年の積立金額を減らすことによって財源を捻出することについても検討すべきではないでしょうか。

○議長(永井武弘) 朝妻財務部長。
〔朝妻 博財務部長 登壇〕

◎財務部長(朝妻博) 御指摘の国の積立モデルについては,据え置きなし,30年償還を基本としていますが,本市の積み立ては3年据え置き,20年償還を基本としていることから,1年当たりの積立額には差がある状況です。この積立方法の変更については,今後,予算編成の中で検討していきたいと考えています。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(永井武弘) 小柳聡議員。
〔小柳 聡議員 登壇〕

◆小柳聡 ちなみに,国のルール,3.3%掛ける30年で積み立てた場合と,本市のルールで積み立てた場合,平成29年度で結構ですが,どれぐらい額が違うのか,つまり,それでどれぐらいの財源を捻出することが可能になるのか,仮定の話ですが,お聞かせください。

○議長(永井武弘) 朝妻財務部長。
〔朝妻 博財務部長 登壇〕

◎財務部長(朝妻博) 平成29年度予算の積立額については86億円です。これを御指摘の国モデルとした場合には69億円になりますので,その差は17億円になります。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(永井武弘) 小柳聡議員。
〔小柳 聡議員 登壇〕

◆小柳聡 つまり1年で17億円違うということですよね。これが毎年毎年続いていけば,それだけ大きな財源ができてくると。本市はお金がない,ない,ないと言っているのですが,一方ではあって,積み立てをしているだけという側面もあると思います。今,119億円という数字がひとり歩きしてしまっているところに少し危機感を覚えますので,必要なサービスはしっかり削らずにやっていくために,積立ルールの変更についても,新年度の予算編成に当たって御検討いただきたいと思います。
このテーマの最後の(4),今後の中期的な予算の考え方についてです。
歳入がふえず歳出がふえる状況,また基金も適正額を積み立てていくという状況を考えますと,まちづくりのために回せる財源が少なくなってしまい,今までに比べ,まちづくりのスピードが遅くなることが懸念されます。しかし,投資すべきところはしっかりとしなくてはいけません。市長も,本市の財政は厳しいが,まちづくりはとめられないと,新たな種地の発掘や仕込みもやっていこうと,職員の方に向けて,平成29年8号の市職員に向けて通信で語りかけています。種としてまくべきは,インフラはもちろんですが,やはり人材への投資,教育,子育てに対する投資が最も重要ではないでしょうか。これが最終的には税収の増加として返ってくるはずです。
また,基金の状況を考えますと,この二,三年が非常に厳しいということであれば,削ることだけでなく,中期的な視点で事業を考える必要もあると思います。削ることとセットで,将来像もしっかりと市民の皆さんに提示すべきです。職員の方に今の視点と中期の視点の2つを求めなければ,削る作業だけになってしまい,この町の発展はありません。
こういった視点を踏まえ,今後の中期的な予算の考え方についてお聞かせください。

○議長(永井武弘) 朝妻財務部長。
〔朝妻 博財務部長 登壇〕

◎財務部長(朝妻博) このたびの事業見直しは,全分野にわたる行財政改革を行うものですが,収支均衡のための単なる削減,縮小ではなく,中期的な視点に立ち,限られた経営資源をにいがた未来ビジョンやまち・ひと・しごと創生総合戦略などに沿った事業に投資することにより,安心政令市にいがたに向けた取り組みを推進していきます。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(永井武弘) 小柳聡議員。
〔小柳 聡議員 登壇〕

◆小柳聡 先ほども触れましたが,どうもこの119億円という数字がひとり歩きしているなと。この議場でも今回,119億円という数字,本当に多くの議員の皆さんが使われていました。昨日の報道でも,新潟市は財政危機だというふうな捉え方で報道されています。これが市民の皆さんに新潟市は大丈夫かという不安感,閉塞感を与えており,間違ったメッセージになっている可能性もあるのではないでしょうか。
町が縮む一方ではなく,新潟市として投資すべきところはしっかり投資するという強い決意,メッセージが市民の皆さんに必要だと思います。ぜひそういう視点でのメッセージを改めてお願いします。

○議長(永井武弘) 朝妻財務部長。
〔朝妻 博財務部長 登壇〕

◎財務部長(朝妻博) 119億円という財源不足額については,現段階での試算値ということで申し上げています。必ずしもいたずらに危機感をあおろうとしているわけではありませんし,その対応として縮めばいいと思っているわけでもありません。基金対応ができないということが今までの財政運営とは決定的に異なるわけですが,こういう状況だからこそ,めり張りのきいた予算としたいと考えています。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(永井武弘) 小柳聡議員。
〔小柳 聡議員 登壇〕

◆小柳聡 きのう,ピンチはチャンスだという答弁もありましたし,今,財務部長からもメッセージをいただきました。119億円という数字がまた語呂が悪くて,119番だと言う市民の皆さんもいますので,そこは今後気をつけて,前向きなメッセージを発信していただきたいと思います。
次に2,小・中学校におけるエアコン設置についてです。
財政が厳しいという話もありますが,一方で将来への投資も必要です。そこで今回,小学校,中学校におけるエアコン設置について質問したいと思います。
このテーマを取り上げようと思ったのは,11月末に市議会で議会報告会を実施しました。今回は,子育て世代から子供,教育について意見をいただくことを目的として,小・中学校のPTAの皆さんに御参加いただきました。私は秋葉区の担当でしたが,その中で私の担当したグループで,エアコンを設置してほしいと,非常に強い意見がありましたので,取り上げます。教育長には,お子さん,また保護者の方の率直な声ということで受けとめていただきたいと思います。
初めに(1)として,市内の小学校,中学校におけるエアコンの設置状況についてお聞かせください。

○議長(永井武弘) 前田教育長。
〔前田秀子教育長 登壇〕

◎教育長(前田秀子) 本市の小・中学校の普通教室は,平成29年4月時点で2,362教室ありますが,そのうち自動車や航空機の騒音対策などが必要な小・中学校6校や,プレハブ教室などの273教室にエアコンを設置しており,設置率は11.6%です。
小・中学校別の設置の内訳としては,小学校では107校,1,627教室のうち43校,228教室で設置しており,設置率は14.0%。中等教育学校を含む中学校では57校,735教室のうち16校,45教室で設置しており,設置率は6.1%となっています。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(永井武弘) 小柳聡議員。
〔小柳 聡議員 登壇〕

◆小柳聡 設置率は非常に低いというのが率直な印象です。また,設置しているところも,今ありましたように,航空機の騒音の関係であったり,プレハブであったり,やむを得ずつけたというようなところがほとんどで,学校から暑いからどうしてもつけてくれと言われて設置された例はないとも伺っています。
ただ,全国的にはどんどんエアコンの設置が進んでおり,文部科学省の直近の調査では49.6%,約半分の学校にエアコンが設置されているということで,3年前に比べて15%高くなっていると。国も補助のメニューをつくっていますので,どんどん高くなっているということです。
他県に比べて新潟が暑くなっていないかというと,決してそんなことはありません。調べてみましたが,本市の7月の真夏日の日数,ことしと30年前を比べますと5日間も多くなっていると。それだけ暑い日がどんどんふえているということです。
また,文部科学省では学校環境衛生基準というものをつくっていまして,教室の温度は,夏は30度以下,冬は10度以上が望ましいとしています。
そういったところで,教育委員会として,実際に教室内の温度を調査することの必要性について認識されているのでしょうか。

○議長(永井武弘) 前田教育長。
〔前田秀子教育長 登壇〕

◎教育長(前田秀子) 空調機の設置については,要望もいただいていますし,望ましいとは思っていますが,温度については,各学校で温度計を設置したりはしていますが,教育委員会としての調査はしていません。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(永井武弘) 小柳聡議員。
〔小柳 聡議員 登壇〕

◆小柳聡 実態として,教室の中に入ると物すごく暑いという声をたくさんいただいています。また,熱中症の症状を起こして緊急搬送されたという事案もあったと伺っていますが,そのあたりは把握されていますか。

○議長(永井武弘) 前田教育長。
〔前田秀子教育長 登壇〕

◎教育長(前田秀子) 熱中症でぐあいが悪くなった子供の数などについては,各学校から報告は求めていませんが,平成28年度に熱中症により医療機関を受診して災害共済の給付を受けた件数が小学校で2件,中学校で12件となっています。また,同じく平成28年度,救急搬送された生徒が中学校で7件ありました。なお,この7件のうち授業中は2件で,あとは部活動や体育祭の際ということです。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(永井武弘) 小柳聡議員。
〔小柳 聡議員 登壇〕

◆小柳聡 何十年か前,私のときとも違いまして,今はどの御家庭にも基本的にエアコンが設置されていて,そこから学校に来るということで,なかなか体温調整がうまくいかず,ぐあいが悪くなるというお子さんがこれからどんどんふえることも当然考えられると思います。まず,サンプル的に幾つかの学校の教室内の温度を調査してみるということを始めてみてはいかがでしょうか。

○議長(永井武弘) 前田教育長。
〔前田秀子教育長 登壇〕

◎教育長(前田秀子) 例えば,各区1校程度で温度測定を行うなど,できるだけ学校の負担増にならないような形で,来年度に向けて測定について検討していきたいと思っています。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(永井武弘) 小柳聡議員。
〔小柳 聡議員 登壇〕

◆小柳聡 私が伺った区は秋葉区ということで,かなり暑くなるところでしたので,ぜひ早急に御対応をお願いします。
次に,必要は必要だけれども,実際,お金がかかってなかなかできないという声もよくいただいています。
そこで(2)として,設置費用はどの程度見込まれるのかお聞かせください。

○議長(永井武弘) 前田教育長。
〔前田秀子教育長 登壇〕

◎教育長(前田秀子) 設置費用については,各学校の調査や設計を行っていませんので,あくまでも概算の数字ですが,直近の工事から試算しますと,ガスヒートポンプ方式で1教室当たり約300万円の経費が必要となります。未設置の普通教室全てにエアコンを設置する場合は,小学校1,399教室で約42億円,中学校690教室で約20億7,000万円となり,合計で62億7,000万円の費用が見込まれます。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(永井武弘) 小柳聡議員。
〔小柳 聡議員 登壇〕

◆小柳聡 次の(3)ですが,やはりお金がかなりかかると。先ほども議論させていただきましたが,財政状況が厳しい中でこんなにお金かけることはできないという議論もあると思うのですが,そうであれば,設置するために知恵を絞らなくてはいけません。
他都市では,PFIの導入,リース方式の導入などで財政的な支出をかなり軽減しています。例えば京都市では,11年前に全ての小・中学校でエアコンを設置しています。国から3分の1補助がありますので,実質的な負担は約64億円という見込みだったのですが,やはり64億円はなかなか拠出できないということで,設計から維持管理,メンテナンスまで全部一括発注することで大体17億円削減できたということで,実質的な市の負担は40億円ちょっとになったという事例も出ています。また,埼玉県上尾市では,エアコンを購入ではなくてリース契約にしたということで,導入にかかる費用10億円を年間8,000万円に減らすことができました。こういった手法についても積極的に検討すべきだと思いますが,いかがでしょうか。

○議長(永井武弘) 前田教育長。
〔前田秀子教育長 登壇〕

◎教育長(前田秀子) 教室の暑さ対策には,エアコン設置は有効と思いますが,現在,校舎,トイレ,各種設備の老朽化対策が喫緊の課題であり,厳しい財政状況の中では,学校施設の長寿命化を最優先としているために,現時点では全普通教室へのエアコンの設置は困難と考えています。
エアコンを含めた学校施設の整備は,国の補助金を受けて整備することを基本としていまして,整備手法としては,今ほど議員から御紹介のありましたリース方式などもありますが,リース方式では費用の平準化が可能となりますが,全て一般財源となることや,またPFI方式でも国の補助金は受けられますが,国も財政状況が厳しいということで,補助の採択が厳しいことも予想されます。いずれの方式を採用した場合でも,設置費用だけでなくランニングコスト,また将来の更新費用も必要であることから,慎重に検討していかなければならないと考えています。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(永井武弘) 小柳聡議員。
〔小柳 聡議員 登壇〕

◆小柳聡 県内でも,加茂市では全て導入,長岡市でも中学校は導入するということで,お金がない中でも将来へ投資するということで,要は優先順位の決め方だと思います。本市の一般財源のレベルから考えれば,この額が拠出できないということは決してないはずです。どこに優先的にお金を振り分けるか,それは市長の決断にもよってくると思うのですが,人口減少の中にあっても将来へ投資すると示すことが必要だと思います。
そのグループの保護者の方からも,市議会,市役所はクーラーがない中で仕事ができるのですかという話をされました。正直,返す言葉がありませんでした。子供たちは,一番大事な地域の宝と言いながら,そういうところにお金をかけないというのが本当に新潟市として正しいのかどうか,この点については教育長にもしっかり検討いただいて,前向きにお願いしたいと思います。
最後に3,サッカー・アルビレックス新潟への今後の支援のあり方についてです。
このテーマは,ぜひ市長にお答えをいただこうと思っていたのですが,記者会見で大体の内容について市長が話されていましたので,今回は文化スポーツ部長からということですが,J2への降格,非常に残念でした。アルビはもう地域の文化になっているという中で,アルビレックスがJ2のカテゴリーに落ちてしまうことで,入場者数の減少,それにより経済規模が小さくなることはもちろん,ファンが離れてしまうのではないかという心配もあるわけです。
今回J3に降格するザスパクサツ群馬というチームがあるのですが,先日,前橋市からザスパへの支援が一部打ち切りになるという報道がありました。なぜJ3に降格するこのタイミングでということで,ザスパのサポーターを初め,さまざまな市民の皆さんから意見が出てきたということです。本市にあっては,まさかそんなことはないと思いますが,J2に降格した来年であっても,アルビレックスへの支援を継続していくという方向でよろしいでしょうか。

○議長(永井武弘) 中野文化スポーツ部長。
〔中野 力文化スポーツ部長 登壇〕

◎文化スポーツ部長(中野力) 本市は,Jリーグの設立趣旨である豊かなスポーツ文化の振興及び国民の健全な発達への寄与に賛同し,平成9年にアルビレックス新潟のホームタウンとなりました。そして,地域に根差した,市民に愛されるチームになることを願い,ホームゲームへの親子観戦招待,指導者派遣やサッカー教室を開催するなどの支援をしてきました。
これまでも選手,スタッフ,サポーターが一丸となり,厳しい戦いを乗り越え,市民,県民にたくさんの勇気や感動を与えてくれました。
ことしは序盤戦からなかなか調子が上がらず,終盤戦には新潟のチームらしい驚異の粘りを見せたものの,残念ながら来年は戦いの舞台をJ2リーグに移すこととなりました。
本市としても,この悔しさを糧に1年でJ1の舞台に復帰することを願っており,スポーツ振興,青少年健全育成,市民の連帯感醸成や地域活性化に大きく寄与し,貢献することが期待されることから,引き続きアルビレックス新潟を支援していきます。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(永井武弘) 小柳聡議員。
〔小柳 聡議員 登壇〕

◆小柳聡 財政状況が厳しい中でも,来年はしっかり支援するというお言葉をいただきました。
J2に落ちた来年が一番の勝負です。そこでJ1に帰れるかどうかにかかってくると。かくいう私も中学校2年生からアルビレックスの大ファンということで,常々応援しているわけですが,最終戦のセレモニーで米山知事から,アルビレックス来年も頑張れと,選挙ばりの非常に力強いメッセージがあったわけですが,市長は公務,地域ミーティングがあったということで出席がかなわず,メッセージの代読がありました。また,聖籠町の渡邊町長からも,アルビレックス頑張れと,すごく力強いメッセージがありまして,当日,会場は非常に盛り上がったと。やはり行政のトップがアルビレックスを応援しているということは,サポーターの皆さんはもちろん,市民の皆さんにとっても非常に大きな力になりますので,ぜひここで改めて市長から,来年アルビレックス頑張れという力強いメッセージをお願いしたいと思います。

○議長(永井武弘) 篠田市長。
〔篠田 昭市長 登壇〕

◎市長(篠田昭) 来年が非常に大事だと思いますので,我々もスポンサーの皆さんにもお願いして,来年これをばねにして,一層アルビレックスを応援する姿勢を示していきたいと思っています。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕

○議長(永井武弘) 小柳聡議員。
〔小柳 聡議員 登壇〕

◆小柳聡 市長もアルビの応援団の先頭に立っていただくことをお願いして,私の一般質問を終わります。(拍手)