新型コロナワクチン接種について6月定例会で一般質問〜数字に基づいた施策を〜

6月11日に2021年6月定例会が開会し、補正予算案が市長から提案され今後議論されることになります。各常任委員会での審査の前に、市長と市政の今後の方向性について議論することができる「一般質問」が、議員に許されています。

2期目の任期をいただいてから、毎回手を挙げ、質問の時間をいただき中原市長と議論しています。1年に4回しかチャンスがありませんので、一回一回の質問を少しでも有効に使い、市政発展のための議論ができればと思い、質問をしています。

今回は「新型コロナワクチン」に絞って質問し、議論をしました。今最も重要なテーマであると私自身考えていますし、65歳以上の方への接種において多くの問題が発生しました。この反省を64歳以下の方への接種に活かす必要があると考え、批判ではなく「どう改善できるか?」の視点で現状把握、今後の提案を中心に議論しました。以下、課題について私なりの考え、議論した点をご報告します。

1、現状把握が上手くいっていない

「電話が繋がらない」「予約ができない」そういった声を受ける形で、大規模接種会場が主に中央区を中心に会場が設置されました。現在予約できていない方がどの地域に住んでいるのかが、特に高齢者で移動手段が限られている方が対象の場合は重要です。現に朱鷺メッセ会場で空きが目立っています。

市は7月末までに接種率90%想定での必要接種回数の枠を確保したと答弁していますが、全体で回数を確保しても、被接種者のニーズにあった場所に会場が設置されているかどうかは別問題です。

この点について現在1回目の接種は30%程度で、区ごとに差があることが答弁されました。データが出たのは今回が初めてです。今後データをしっかり把握した上で、接種を希望する人のニーズにあった施策を立てると答弁ありましたので、期待したいと思います。

2、接種率の想定

65歳以上の接種の市の一番の誤算は想定接種率でした。インフルエンザワクチンは60%、新型コロナワクチンはそれより少し高く、いわゆる集団免疫の目安とされている「70%」を想定し、計画を策定しました。つまり、人口×想定接種率×2回=接種回数となり、その回数をどう接種するかが接種計画です。個別接種と集団接種の比率を9:1にしたことで、接種が進まなかったことは間違いありませんが、その根本にあるのが想定接種率です。

そこで、64歳以下の接種にあたり、どの程度の接種率を想定しているか質問をしました。答弁は「想定していない」とのことでした。その後のやり取りで90%の枠を想定して、会場設置を行う趣旨の発言がありました。諸外国の状況を見ると、若い世代ではなかなか接種が進まない現状がわかります。その要因は若い世代では重症化しにくいこと、そして高齢者に比べ副反応が出やすいことが挙げられます。

副反応について

「健康観察日誌集計の中間報告」が5月26日の「第60回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第8回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」で公表されました。1-2万人の安全性情報を収集し、厚労省の専門家会議を通じて国民の皆様にワクチンの安全性情報を発信することを目的とする調査です。軽度の副反応について、以下の点が挙げられます。

・接種部位の痛み等が多くの方にみられ、1回目より2回目で頭痛、発熱、倦怠感の症状が出やすい

・高齢者より若者で症状が出やすい(=発熱は20、30歳代は70歳の5倍程度、頭痛は3倍)

・接種翌日〜3日目で治るケースが多い

今回新潟市は、全庁を挙げワクチン接種に対応するため、副市長名で「依命通達」が6月9日に出されました。内容は、「ワクチン接種業務に最優先」「他の業務は延期を検討」などの非常に重みのある言葉が並んでいます。他に重要な業務もある中、行政資源をさいて取り組むわけですので、職員を配置してガラガラでしたではすみません。結果そうなったとしても、できるだけ現実に即した数字をもとに、計画を策定するのが、行政の腕の見せどろこだと思います。

そこで、Line公式アカウントなどを活用した意向確認のサンプル調査を提案しました。神戸市ではネット調査をもとに実施日時、会場の増設を行なっています。この点については、やりとりの中で、前向きに検討するとの答弁がされましたので、期待したいと思います。

3、休暇制度など社会環境整備

2、で副反応について述べました。高齢者接種とは違う点について、目を瞑らずしっかりと対応することこそが重要だと考えます。

日本経済新聞で順天堂大の伊藤澄信客員教授(臨床薬理学)が「若い世代の方が副作用が多くみられるのは免疫反応の強さが影響しており、やむを得ない。2回目の接種後は高熱や悪寒といったインフルエンザと似た症状が出る人もおり、接種翌日は休暇とするなど事前の調整が重要だ」と指摘しています。

若い世代の接種率が仮に上がらなかった時、彼、彼女たちの社会的責任を追求するはお門違いです。国から特別休暇(風邪症状が出た場合)について通達が出ており、新潟市もそれに従った対応をするとの答弁でした。「ワクチン休暇」として接種日翌日は休むことがコロナ禍の新しい働き方として市は積極的に打ち出すべきだと議論しました。市長からも「重要なご指摘をいただいた」と発言があり、今後の柔軟な運用を期待したいと思います。

4、接種しない選択肢の尊重について

人により身体の状態、体質により接種できる人、できない人がいますし、若い人ほど、長期的なリスクを心配して現段階で接種しない選択肢をする人もいます。ワクチンは任意接種であり、人それぞれの選択を尊重することが重要であり、接種しない選択をした人の大きな不安は外の目、差別的な対応をされることではないでしょうか。任意接種である以上、受けないことに対しての差別的な対応は許されず、配慮が必要です。

学校での集団接種

例えば、神戸市の中学校で集団接種が検討中とのニュースがありました。接種した生徒としていない生徒がはっきりわかることは差別を助長するような環境を、学校自らが創りだすことになってしまいます。

効率的な接種と、その後の生徒の心身の発達を比較考量すれば、現時点では私は効率的な接種を優先すべきだとは考えません。この点は新潟市は検討していないとの答弁でしたので、安心しました。

また、日本弁護士連合会の相談事業で医療従事者、介護施設職員職員から「職場で拒める雰囲気がなく、接種をしなければ退職などを求められている」「ワクチンを打ちたくないのであれば、ここでは働けないと言われた」などの相談が多数寄せられたとの報道がありました。

接種が仕事の評価に直結しない人事評価を

例えば職場内(新潟市)で非正規(会計年度任用職員)の契約更新等の評価に繋がらるようなことがあってはならないと思い、配慮を求めました。この点についてもしっかり配慮するとの答弁をもらいました。

その他にも議論して点がありますが、詳細は後日アップされる動画、議事録でご確認いただければ幸いです。こういった時だからこそ、政党、会派で考えるのではなく、新潟市にとって何が必要なのかという原点に立ち返って議論すべきだと強く感じました。

議員としての協力の形

議会、議員としてすべきこの有事での「協力」は、市の施策について地域の方の声を代弁すること、代弁を通じてよりよい施策、納得できる施策を執行部と共にに形にしていくこと。議論こそが私たちができる最大限の協力の形です。

職員の皆様の使命感によるこの間の職務に最大限の敬意を表しながら、過去について後ろ向きに批判するのではなくこれからの対応、主に64歳以下のワクチン接種がよりスムーズに進むよう、今後も提案をしていきたいと思います。