平成27年9月定例会 本会議
◆小柳聡 民主にいがたの小柳聡です。6月定例会に続き出番をいただくことができました。本日は我が民主にいがた,私を含め3名質問させていただく予定です。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは,通告に従いまして地方創生,数値を用いた政策のあり方,自治協議会,パブリックコメントについて質問していきます。
まず,地方創生のあり方についてです。
新潟市まち・ひと・しごと創生総合戦略の素案の中には,「国の掲げる地方創生を先取りした,にいがた未来ビジョンの実効性をさらに高め,地方創生のトップランナーとなるべく,こうした国の方向性に対応して新潟市総合戦略を策定し,交付金制度を最大限活用しながら取組の深化を図ることとしました」との記述があります。
この計画の問題点は,計画策定までの期間が余りに短く,KPIの数値が適切かどうか検討するための十分な時間がない点です。この点については,後ほど議論させていただきます。この計画策定には多くのお金,多くの職員の時間を費やしています。もし国の交付金制度の活用が最大の目的であるというならば,それは本来の意味での地方創生とは言えないのではないでしょうか。
市長自身がにいがた未来ビジョンは地方創生を先取りしたものであると御発言されていますが,新潟市が本当の意味での地域主権,地域住民にとって幸せなまちづくりのトップランナーであるためにも国のスキームにとらわれず,より主体的な取り組みが求められると考えますが,見解をお聞かせください。
◎市長(篠田昭) 小柳聡議員御質問の自発的な地域主権の形についてお答えします。
市議会や市民の皆様とともにつくり上げたにいがた未来ビジョンは,人口減少,少子・超高齢化への対応を最重要課題と位置づけ,国のまち・ひと・しごと創生法の成立や地方創生の議論に先行して平成25年度に策定を開始しました。
にいがた未来ビジョンは,本市の強みを生かした農業の6次産業化や12次産業化,航空機産業などの成長産業育成による雇用の創出のほか,総合的な子育て支援強化などによる子供を安心して産み育てられる町,市民力,地域力を引き出した誰もが安心して暮らせる町の実現など,持続可能なまちづくりを進めるための本市の主体的な取り組みをまとめたものです。
一方,国は地方創生に向け人口減少の歯どめと東京一極集中の是正を目的とした創生法を平成26年11月に成立させ,地方版総合戦略の策定を努力義務とするとともに,同年12月には新たな交付金制度の創設を閣議決定しました。
こうした自主的,主体的に地方創生に取り組む自治体を支援するという国の方向性を受け,にいがた未来ビジョンの実効性をさらに高めるために総合戦略の策定に着手しました。市民の皆様が明るく住みなれた地域で暮らし続けることができるよう,本市の目指す都市像実現に向けては今般の国の交付金制度はもとより,あらゆる資源を最大限活用して取り組みの深化を図り,にいがた未来ビジョンと総合戦略を着実に推進していきます。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕
◆小柳聡 次に,適切な数値を用いた政策のあり方について質問させていただきます。
新潟市まち・ひと・しごと創生総合戦略の今回の計画期間は5年間となっており,5年後の重要業績評価指標,いわゆるKPIを設定されていますが,年度ごとにKPIが順調な状況を示しているのか判断する指標がありません。そうした場合に年度ごとの進捗を管理するための参考値のようなものが必要だと考えますが,現在の素案には参考値に対しての記述がありません。この点について見解をお伺いします。
◎理事(加藤雅之) 年度ごとのKPIの参考値設定についてです。
新潟市まち・ひと・しごと創生総合戦略の実効性を高めるためにPDCAサイクルによる進行管理を着実に行い,年度ごとにKPIについて成果検証を行うこととしています。年度ごとのKPIの参考値については,確実にPDCAサイクルを回し,進行状況をきちんと判断するために必要であると考えており,それぞれの施策や事業ごとに総合戦略実施期間である5年間のスケジュールなどを考慮して設定することとしています。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕
◆小柳聡 今参考値を設定するという御答弁をいただきましたので,それにより実効性が高まっていくのではないかと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
次に,KPIの妥当性についてお伺いします。
繰り返しますが,目標達成のための計画が順調に進んでいるのか管理するための指標がKPIです。しかし,KPIが誤った数値の場合,誤った方向性に新潟市が向かってしまい,そのために多くの税金を投入することになってしまう,そんな危険性があります。そういった意味でも新潟市が向かうべき方向性はにいがた未来ビジョンで示されていますので,KPIの数値が適切かどうかが今計画の肝であり,議論が必要な点です。
ここでは余り時間がありませんので,わかりやすい指標2点を取り上げ質問させていただきます。まず,UIJターン関連ホームページ,SNSアクセス数についてです。戦略内の基本目標中にある新たな産業集積による雇用創出では,5年後の社会動態を470人の増加として数値目標を設定しています。そして,そのための施策として新潟暮らしの魅力発信を行うとの記載があります。
この新潟暮らしの魅力を知ってもらえているかどうかはかる重要業績評価指標,いわゆるKPIとしてUIJターン関連ホームページ,SNSアクセス数が1万5,000件,これは恐らく年間だと思うのですが,こういう数字があります。まず,このアクセス数1万5,000件の根拠をお伺いします。
◎理事(加藤雅之) UIJターン関連ホームページ,SNSアクセス数についてです。
KPIは,新潟市まち・ひと・しごと創生総合戦略推進本部内に設置しました安心暮らし部会,少子化対策部会,雇用創出・魅力発信部会の3部会で議論の上原案を作成し,産学官金労言の有識者で組織されます新潟市まち・ひと・しごと創生アドバイザーの皆様にも御意見を伺って決定したものです。
総合戦略の推進に当たっては,政策分野ごとの基本目標と具体的な施策を示し,各施策の効果を客観的に検証できるKPIを設定する必要があります。そのため,検証に向けて計測可能なもの,過去の実績などを捉えて推計できるものであることを考慮して設定しています。
御質問のUIJターン関連ホームページ,SNSのアクセス数については,地方版総合戦略を立案する際の資料として国から提供されています地域版経済分析システム,略称RESASですが,そのデータを用いて求めた新潟市出身の東京都在住者の数や国が行った東京在住者の今後の移住に関する意向調査などをもとに設定したものです。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕
◆小柳聡 今いろいろな数値を見て参考にして設定したというお話があったのですが,その資料が私たちに公表されていませんので,そもそもそのKPIが適切かどうか判断できないということをまず申し上げさせていただきます。
例えば鹿児島県ではドローンを活用して4Kで鹿児島の美しさを撮影してユーチューブでアップした結果,1カ月間で2万5,000回以上再生され,海外から非常に注目されているようです。また,鹿児島の伝統,人,自然にフォーカスを当てた動画は1年間で約100万回以上も再生されています。このようにアクセスが短期間で飛躍的に伸びるのがネットの世界です。こういった数字と比較して1万5,000件,1日当たり40件のアクセスになりますが,これは少な過ぎるのではないかと考えますが,見解をお願いします。
◎理事(加藤雅之) アクセス数1万5,000件,少な過ぎるという御指摘,私どももさらに伸びるように努力していきます。
現在設定したのは,現況で約3,500件ほどのアクセス数になっていますので,これを年間で倍増し,さらに5年後にはそのまた倍増というところも考えの根拠にあるところですが,あわせて今ほど御紹介ありましたプロモーションビデオのようなものについても現在NGT48のメンバーを使わせていただくようなプロモーションビデオのシナリオを募集して,これからつくっていく段階でもあります。さらなるアクセス数の増加に向けて,こういったところとリンクを張りながらふやす努力をしていきたいと思います。
また,KPIについてはPDCAを回しながら検証を行っていくことになりますが,この数値は状況に応じて変えることもできますので,さらなる増加が見込まれる場合にはどんどんふやしていきたいと考えています。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕
◆小柳聡 今数値について毎年度PDCAサイクルのところで変更する可能性もあるということでしたので,そういったところを少し検討いただければと思います。
また,ホームページ訪問後ユーザーがどういった行動をとるかも非常に重要な点だと考えています。ホームページを訪問した後,どういったアクションをユーザーはとったかも含めてKPIは設定すべきだということを申し上げて,次に移りたいと思います。
次の指標として,職業を理由とした県外からの転入者数220人増についてお伺いします。
ここも先ほどと同じ新たな産業集積による雇用創出について,5年後の社会動態470人の増加を数値目標として設定しています。また,そのための施策として移住,定住に向けた支援を行うと記載があります。移住,定住に向けた支援が順調に進んでいるか評価する重要業績評価指標,KPIとして職業を理由とした県外からの転入者数220人増が設定されています。まず,この220人の根拠をお伺いします。
◎理事(加藤雅之) 職業を理由とした県外からの転入者数についてです。
転入者数の目標は,過去の住民基本台帳による転入・転出者数の実績をもとに本市総合戦略に掲げた12次産業化の推進や航空機産業の育成などを通じた雇用の場の拡大を図るなど,さまざまな施策の効果が発揮されることを前提とした社会動態の数値目標を踏まえて算出したものです。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕
◆小柳聡 今過去の実績から推計されたというお話があったのですが,職業を理由とした県外からの転入者数を今回KPIに設定されているのですが,現状会社都合によるやむを得ない転入と,移住を自主的に選択した積極的な転入の2つに分けられると思うのですが,今回設定した220人には会社都合等によるやむを得ない転入も含まれるのでしょうか。見解をお願いします。
◎理事(加藤雅之) はい,含まれています。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕
◆小柳聡 含まれるということですが,本計画では新たな産業創出による雇用創出が目標となっています。であれば,目指すべきは新たな産業が創出されたことで新潟に帰ってきたい,新潟で暮らしたい,こういう積極的な転入者数をKPIとして設定すべきではないかと考えますが,いかがでしょうか。
◎理事(加藤雅之) 議員おっしゃるように新たな産業の集積ですとか12次産業化等の促進に基づいて,積極的に本市にUIJターンをしてくださる方の増加をぜひ図りたいと考えていますが,さらには企業誘致あるいは首都圏の企業の本社・支店機能の誘致なども進めていますので,そういった企業の移転に合わせて本市に転勤のような形でおいでいただける方も含めて,積極的また受動的に本市にお住まいを移していただける方,双方ふやしていきたいと考えています。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕
◆小柳聡 双方ふやしていきたいということでしたので,当然双方ふやすことは必要だと思います。ただそういった意味での数字の議論は非常に難しい点がありますので,また時間をかけて精査していただきたいということを申し上げて,次に移りたいと思います。
今ほど議論させていただきましたとおり,数字の設定には慎重かつ丁寧な議論が必要です。総合戦略においては,基本目標の数値として6つの数字,そしてその数字を達成するため計画の進行状況を確認する指標としてKPIが48,つまりこの計画内に合わせて54もの数字が設定されています。しかし,これらの数字がひとり歩きをする,もしくは忘れられてしまってはその上の数値目標の達成は困難になってしまいます。
行政の計画には多くの数字が設定されています。しかし,それらの数字がどれだけ市民と共有できているでしょうか。より多くの市民に納得してもらえ,一緒にその数字の達成を目指せるような,そんな数字であるべきです。
現在総合戦略の素案がパブリックコメントにかけられていますが,数字の根拠資料等は添付されていません。また,数字について部会でどういった議論があったかといった過程も知ることができません。これでは数字の適切性について議論する材料が十分与えられたとは言えず,市民と行政が共有できる数字にすることは困難です。今後数字を設定する場合は早目の資料の公表,根拠資料等の添付により多くの市民から数字について評価可能な形にすることが望ましいと考えますが,見解をお伺いします。
◎理事(加藤雅之) 市民と共有できる数字の必要性についてお答えします。
本市は,これまで市民に信頼される開かれた市政運営や協働のまちづくりの実現に向けて,市政情報の積極的な公開など透明性の確保に取り組んできました。今回の総合戦略で設けたKPIのような数値目標を設定し,取り組みの実効性を高めていくことはこれまで以上に重要となってくると考えています。
今後の政策形成過程の公表,パブリックコメントの実施に当たっては政策案のほか関係会議の資料といった策定経過に加え,主要な数値目標など市民の皆様にお示しすべき情報を可能な限り共有できるよう努め,わかりやすく開かれた市政の実現に向けて取り組んでいきます。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕
◆小柳聡 ただいま非常に前向きな御答弁をいただきましたので,今後の取り組みに期待したいと考えています。
次に移らせていただきます。自治協議会について質問させていただきます。
まず,自治協議会のあり方についてです。
新潟市が周辺市町村と合併して10年が経過しました。私は旧豊栄市出身,合併当時高校生でしたが,町の名前がなくなってしまうかもしれないと感じた当時のことは鮮明に覚えています。合併した際に周辺市町村には大きな不安があったはずです。予算が新潟市の中心部に集中的に投下され,自分たちの地域の声が行政に届きにくくなってしまうのではないか,そういった疑念に対する答えの一つが分権型政令市というモデルでした。
地域の声を届けるため,各行政区に区自治協議会が設置されました。合併建設計画も終わり,地域のことは地域で決めることができるよう自治協議会に求められた役割は大きくなっています。
そこで,自治協議会の政令市移行時と現在の位置づけについて見解をお伺いします。
次に,評価,課題認識についてお伺いします。
近年は自治協議会の提案事業が行われるなど,今までの諮問機関的な位置づけから一歩進んだ実施主体としての活動も見受けられるようになってきました。
一方,課題もあります。各区の自治協議会の会長が行う会長会議では,認知度向上,委員への研修機会の充実が必要であるとの報告書が上がっています。また,ある自治協議会の委員さんからは諮問されたものに対して意見をしたが,その後どう反映されたのか,もしくは反映されなかったのかについて行政から報告がないとのお話もいただきました。
これらの点を踏まえ,現在の自治協議会への評価,課題の認識についてお伺いします。
次に,自治協議会と議会との関係性についてお伺いします。
自治協議会は,市長,その他の市の機関により諮問されたもの,または必要と認めるものについて審議し,市長,その他の市の機関に意見を述べることができるとされています。つまり行政の施策に対して地域の声を反映させるための仕組みです。
一方,議員については新潟市の自治基本条例に議員は市民の多様な意見及び要望を集約し,総合的な見地で市政に反映させることを行動の指針としなければなりませんと規定されています。
自治協議会,議員ともに多様な市民の声を反映させる点では同じなのですが,両者の関係性については規定がありません。例えば川崎市では区民会議なるものを設置し,自治協議会と同様地域の声を反映させるための仕組みがあります。その中では,議員について,会議に出席した議員は区民会議参与として必要な助言をすることができるとの規定があります。
今後分権型政令市として区のあり方を考えたとき,区の自治能力向上が求められており,自治協議会の重要性も高まっていくと考えられます。その際,議会と自治協議会との関係性が問題になってきます。この点の整理なくして新潟市が分権型政令市としてもう一段上のステージに上がることはできません。この点について見解をお伺いします。
○議長(高橋三義) 井崎市民生活部長。
〔井崎規之市民生活部長 登壇〕
◎市民生活部長(井崎規之) 自治協議会のあり方についてお答えします。
初めに,自治協の位置づけについてです。平成19年の政令市移行に際し,それまで旧市町村単位で設置し,合併建設計画のチェック機能を持った地域審議会にかわる機関として自治協を発足させました。今年度から合併建設計画というテーマは終了しましたが,自治協の地域と行政をつなぐ協働のかなめという当初からの位置づけは現在も変わっていません。
なお,近年では多様な意見の調整という役割とともに特色ある区づくり予算の自治協提案事業に代表されるように,地域課題の解決に向けたコーディネートの比重が大きくなっていると認識しています。
次に,自治協への評価,課題についてです。
自治協は一般的な諮問機関とは異なり,地域の多様な意見を調整する協働のかなめとしての役割を担っています。自治協が発足してから平成26年度までの間,50件の建議,要望が自治協から提出され,実現に結びついた代表的な例として東区の警察署設置などがあります。また,平成26年度には区ビジョンまちづくり計画の策定を区役所とともに自治協から取り組んでいただきました。これら自治協の活動は,住民自治の推進を目指す本市において重要な取り組みであると評価しているところです。
一方,歴代の会長からは認知度の向上と研修機会の拡充などが課題として挙げられています。これらの御意見を承り,平成26年度より全区の自治協において検討や活動の内容を区民の皆様へ周知する広報紙の発行や年1回の全体委員研修に加え,区ごとに独自の研修を行っているところです。
次に,自治協と議会の関係性についてです。
市議会は全市的な視点,政策的,経営的な立場から市の大きな方向づけを行う議決機関です。一方,自治協は市議会の皆様が認めた権限,予算の範囲内において行政との協働によるまちづくりを行うかなめとして位置づけられる附属機関であり,一定の役割分担がされているものと認識しています。今後も自治協が協働のかなめとして機能を発揮できるよう必要な見直しを継続的に行っていきます。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕
◆小柳聡 次に移らせていただきます。自治協議会における多様な意見の反映のための体制の構築についてお伺いします。
新潟市の自治協議会条例には,「区自治協議会は区民等の参画を通じて,多様な意見を調整し,その取りまとめを行い,区民等と市との協働の要となるよう努めるものとする」として多様な意見の反映について規定されています。
また,自治協議会からの意見について,勘案し必要があるときは適切な措置を講じなければならないともされています。これは,自治協議会の意見にはある程度市民の多様な意見が反映されているとの前提に立った制度設計になっていることによります。
市の作成した自治協議会関係の資料を拝見しますと,委員が多様な地域,多様な団体から選出されており,また女性比率についての記載もあり,性別も考慮した多様な委員構成になっていることがうかがえます。一方,年齢の多様性については記載がありません。
そこでお尋ねします。自治協議会の委員の多様性を考えたとき,地域,分野,性別並びに年齢の多様性も求められると考えますが,この点について見解をお伺いします。
次に,現在の委員の年齢構成の割合と実際の新潟市民の年齢構成の割合との乖離状況についてお伺いします。
こちらのパネルをごらんください。(資料を手に持って示す)青が自治協議会の年齢構成の割合になっています。赤が新潟市の実際の年齢構成の割合になっています。このグラフを見ていただくと一目瞭然だと思うのですが,自治協議会の年齢層は60歳から69歳,70歳から79歳,この層に偏っており,自治協議会全体の中で約73%を占めています。
この乖離状況を見ますと,特に49歳以下が一番大きな開きが現在出ています。このずれが生じている現状について所感をお伺いします。
先ほど申し上げましたが,区自治協議会には多様な意見を調整することが条例により求められています。この前提には,言うまでもなく多様な市民の参加が担保されていなくてはいけません。現在の人口構成比で多様な意見の調整は可能なのでしょうか,見解をお伺いします。
また,こういった年齢層の偏りの一因として自治協議会の開催日時の問題も挙げることができると思います。各区の自治協議会の開催はほとんどが平日の午後早い時間帯からとなっており,現役世代が参加するには非常に厳しい日程です。昨年度の自治協議会に委員として参加していたある若手の方から,自治協議会に出席したいのだが,日程が厳しく参加できず悔しいとのお話を伺ったこともありました。日程の問題も踏まえ,この年齢層の偏りの原因について見解をお伺いします。
また,条例第2条第3項において,「市長は,前項の規定による委員の選任に当たっては,委員の構成が区民等の多様な意見が適切に反映されるものとなるよう配慮しなければならない」と規定されています。年齢層の多様性の必要性を踏まえ,今後どういった方向性で対応されるのかお答えください。
○議長(高橋三義) 井崎市民生活部長。
〔井崎規之市民生活部長 登壇〕
◎市民生活部長(井崎規之) 自治協議会における多様な意見の反映の必要性についてお答えします。
初めに,多様性の中の年齢についてです。
地域の多様な意見を反映させるためには,自治協委員の多様性が重要であると認識しています。地域,分野,性別といった要素に加え,御指摘のとおり年齢層も重要な要素の一つと言えると思います。
次に,委員の年齢構成比についてです。
本市の年齢別人口と比較しますと,自治協の委員の皆様は60歳代から70歳代の方の比率が大きくなっていることは御指摘のとおりだと思います。これは,委員の約半数を占めるコミ協の選出委員に起因するものが大きいと認識しています。
次に,多様な意見の反映が可能かについてです。
多様な意見の調整を図るため,幅広い年代の方から自治協に参画していただくことは重要であると認識しています。自治協は区内のさまざまな団体から委員を選出いただいており,また女性委員の比率向上も図られていることから,一定の多様性は担保されると認識していますが,今後は可能な範囲で若い世代の方を推薦いただくよう関係機関にお願いしていきたいと思います。
次に,年齢層の偏りについてです。
新潟市附属機関等に関する指針では,できるだけ休日または夜間の開催も行うよう努めることと規定されています。西区では,平成21年度,平成22年度においてモデル的に休日に開催した実績がありますが,委員の皆様から平日開催のほうが出席しやすいとの声が多いことから平日開催に戻した経緯があります。休日は出席しにくいという委員の方もおられますので,開催日時については各区において委員の実情を踏まえながらより参加しやすい開催日時を設定すべきものであると考えています。
次に,委員構成の配慮についてです。
区により状況は異なりますが,地域の多様な意見がより反映できるよう地域教育コーディネーターなどの地域で活躍している人から委員になっていただくなど,バランスのとれた委員構成を引き続き自治協にお願いするとともに,広報などによる自治協の認知度向上や地域の人材発掘にも努めていきたいと思います。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕
◆小柳聡 今ほど年齢差の多様性が重要だとの御答弁をいただきましたので,ぜひそういった方向で本市としてもできることをしていただきたいと考えています。また,委員の皆様から平日開催のほうが都合がいいのだというお話がありましたが,これは恐らく現在の年齢の構成とかなり関係していると思いますので,その点も御配慮いただきたいと考えています。
次に移らせていただきます。意見集約の方法についてお伺いします。
自治協議会に多様な意見の調整を求めるのであれば,自治協議会の委員構成をより実際の人口構成比に近づける手段以外にも自治協議会の委員以外の市民の意見を自治協議会で集約する方法も考えることができます。
例えばドイツではある特定のテーマについて市民の意見を募集する方法として,市民から無作為抽出で100人程度を集め,施策への意見を市民答申という形で報告書を作成し,市長等に提出するという仕組みがあります。この手法はプラーヌンクスツェレと呼ばれ,最大の特徴は無作為抽出で市民を選ぶため多様性が確保できる点です。日本国内でも東京都の千代田区,武蔵野市などで導入が進んでいます。
本市のように自治協議会がしっかりと制度化された土台があれば,この手法をうまく組み込むことでより市民と行政との協働が進むと考えますが,この手法への見解,また意見集約のための手段について検討状況等があればお聞かせください。
○議長(高橋三義) 井崎市民生活部長。
〔井崎規之市民生活部長 登壇〕
◎市民生活部長(井崎規之) 意見集約の方法についてお答えします。
本市では,分権型政令市の仕組みとして区自治協議会が多様な意見を調整する協働のかなめとしての役割を発揮していただくための環境整備を進めてきました。自治協は,これまでもアンケートやワークショップを開催するなど,市民意見の募集に努めてきましたが,議員御指摘の手法は幅広く意見を募集する点では有効な面もあると考えられますので,今後調査を続けていきたいと思います。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕
◆小柳聡 ぜひ御検討いただきたいと思います。
次に,自治協議会委員の出身母体へのフィードバックについてお伺いします。
自治協議会での議論,行政からの報告等を母体の団体等にフィードバックすることでより多くの市民に情報を伝えることが期待できます。このフィードバックについて本市としてどのように考えているのかお聞かせください。
また,フィードバックについて条例等の規定があるのでしょうか,現状をお答えください。
○議長(高橋三義) 井崎市民生活部長。
〔井崎規之市民生活部長 登壇〕
◎市民生活部長(井崎規之) 自治協議会における委員のフィードバック機能についてお答えします。
初めに,フィードバックの認識についてですが,自治協の会議内容を委員の選出母体に伝えていただき,市の情報や区の課題などを共有することは本市にとっても委員の皆様にとっても重要なことであり,自治協に期待する役割の一つとして考えています。
次に,条例等の規定の有無についてです。
条例などにおいて自治協での会議内容を選出母体である団体にフィードバックしていただく旨を規定したものはありませんが,自治協やコミ協などの活動が活性化するためにはさまざまな情報の共有が必要だと考えています。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕
◆小柳聡 次に,移らせていただきます。
フィードバックについてですが,ある区でこんな話を伺ったことがありました。自治協議会の委員のある方は,フィードバックするのは委員として当然だと御発言されたそうです。一方,ある委員さんはいわゆる手弁当で委員をしている上にフィードバックまで求められたら困ると御発言されたそうです。
昨年度の自治協議会について8区全ての議事録を拝見させていただきましたが,地域のことを考え,一生懸命に活動されていることが本当によくわかります。委員の皆様に対してルールを曖昧にして過度の負担を負わすことがあってはなりません。そういった意味でも条例等何らかの形でこのフィードバックについて規定することを検討すべきだと考えますが,見解をお伺いします。
○議長(高橋三義) 井崎市民生活部長。
〔井崎規之市民生活部長 登壇〕
◎市民生活部長(井崎規之) 条例等に明記する必要性についてお答えします。
フィードバックが重要なことはさきにお答えしたとおりですが,委員及び委員選出母体にも個々の事情があり,会議内容を報告する時間をつくること自体が困難であるという声もお聞きしています。フィードバックについては,委員の負担を増大させる可能性がありますが,情報共有が大切なことから,会議の内容についてはできるだけお持ち帰りいただけるような委員の研修など機会を捉え,委員の皆様にお願いしていきたいと思います。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕
◆小柳聡 わかりました。では,次に移らせていただきます。
行政の説明責任についてです。
私は先ほど委員の皆様に過度の負担を負わすことがあってはなりませんと申し上げました。また,フィードバックについて何らかの形で文書を出すように検討したほうがいいのではないかと申し上げました。なぜかと申しますと,行政が自治協議会の委員の皆様に対してフィードバックを期待することが適切でなかった,また期待し過ぎてしまった例として北区の区役所移転問題が挙げられます。
北区の区役所移転は,平成21年から検討が開始されました。今年度北区自治協議会に特別部会が設置され,場所について現在議論が行われています。委員の方からは,非常に熱心に議論していただき,その結果としてさまざまな観点から候補地に関する評価をしたものが先月の自治協議会の全体会の中でも報告されていました。
しかし,1つ問題があります。自治協議会に参加している人は情報を持っているのですが,自治協議会に参加していない人には情報がおりていないのです。例えば区役所前のとある若手経営者,業務上区役所と密接な関係を持っています。ところが,この区役所移転についてほとんど情報を持っていませんでした。また,ある地域の若手の方から区役所移転について現状を教えてほしいとのお話をいただきました。いずれも自治協議会に参加していないこと,また自分の地域コミュニティー代表者から情報がおりてきていなかった,いわゆるフィードバックがなかったため情報を受けられなかったようです。
しかし,これは自治協議会の委員からのフィードバックに原因を求めるべき性質の問題でしょうか。区役所移転は区民全体にかかわる問題です。区の将来のまちづくりに大きな影響が出るような問題に対しては,行政は慎重かつ丁寧に対応するべきで,直接の説明責任は行政が負うべきです。今回の事例における行政の説明責任のあり方について見解をお伺いします。
また,ことし場所の選定が終わるとの話を聞いていますが,来年以降議論されるであろうどういった区役所にするのか,中身の議論が非常に重要になってくると思います。その際,自治協議会のみで議論するのではなく,これからの未来を担う世代を巻き込んだ形での議論を強く期待します。
さいたま市では,大宮区役所移転後の跡地活用方法について,大学がさいたま市や地元まちづくり協議会等と一緒に建築の提案を通じて郊外都市の将来像を考えるプロジェクトがあるそうです。大宮の事例のように多様な世代,繰り返しますが,特に将来を担う世代を巻き込んでどういった建物,どういった場であるべきか議論できる場が必要です。今後の方針について決意を含めてお聞かせください。
◎北区長(飯野晋) 行政の説明責任についてお答えします。
北区役所の新庁舎整備については,今年度整備位置の検討を進めており,北区自治協議会において新庁舎整備特別部会を設置して意見聴取を行い,整備位置の決定に必要な論点,視点の洗い出しや各候補地におけるメリット,デメリットなどについて検討を重ねています。
議員御指摘のとおり,区役所整備は区民全体にかかわる問題であると認識していまして,区役所が広く区民に対して情報発信を行う必要があると考えています。特別部会での検討状況については,北区役所と北出張所の市政情報コーナーや北区ホームページで情報発信しており,北区役所だよりにも新庁舎整備情報コーナーを設け,検討状況を掲載しています。
さらに,北区自治協議会特別部会での検討だけでなく,商工会などの経済団体やまちづくり団体に対し検討状況などを説明し,意見交換を行っているところです。
今後も区民誰もが参加できる意見交換会や団体やグループの会合に職員が出向いて行う意見交換会を実施するなど,北区自治協議会を初め広く区民に説明していきます。
次に,今後の説明方針についてお答えします。
整備位置の選定後,新庁舎整備の基本構想を策定していきます。基本構想の検討の中では,利用者目線で区役所整備の具体的な内容をまとめていく必要があります。新しい区役所は,区民にとって重要なまちづくり拠点となることから,中長期的な北区の将来像も考えながら必要となる機能の検討を行うべきと考えています。
基本構想の策定に向けては,防災,区民との協働,地域のまちづくりの機能などについて多様な世代の地域の方々が参加できる場を設置して検討していきます。将来を担う世代とも積極的に意見交換を行い,北区へのニーズやまちづくりに向けたアイデアなどを抽出して基本構想の検討に大いに活用していきたいと考えています。多くの区民に愛され,未来につながる北区役所の実現に向け,地域と一体となって進めていきます。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕
◆小柳聡 今ほど区長から非常に前向きな御答弁をいただきました。区民誰もが参加できる意見交換会との話もありましたので,区民が誇れるシンボルにするため,ぜひそういった方向性で進んでいただきたいと思っています。
以上,自治協議会をめぐる状況について質問させていただきました。では,次に移らせていただきます。政令市で区地域協議会を条例で規定しているのは新潟市と浜松市の2都市のみです。また,他都市からも新潟市の自治協議会を勉強するため多くの視察団が訪問してきているとの話です。本市の分権型政令市という理念をより高い次元で実現し,市民の皆様がより幸せを実感できる町にするためにも,繰り返しますが,地域のことは地域で決める体制の構築は欠かせません。
そういった意味でもそのかなめである自治協議会のさらなる充実が求められると考えますが,今後の展望も含め,抱負をお聞かせください。
◎市長(篠田昭) 自治協の今後の展望についてお答えします。
これまで自治協には諮問機関としての役割だけでなく,地域と行政をコーディネートする協働のかなめとして御尽力をいただいてきました。今年度からの第5期の自治協は,政令市新潟のセカンドステージとなり,区のまちづくりも成熟期を迎えていきます。
昨年度第4期自治協委員の皆様にお願いした自治の深化に向けての検討の結果,自治協のあり方については1つ,区全体の大きな視点,2つ,多様な意見の調整と地域課題の解決,3つ,コミ協など活動に基づく議論の場,4つ,コミ協とのさらなる連携の強化という基本的な方向性を確認いただきました。
これからも自治協がこれらの方向性のもと,協働のかなめとしての役割を発揮していただけるよう引き続き支援するとともに,制度の検証も行っていきます。今後とも自治協の皆様から御尽力をいただき,住民自治がさらに推進されるよう期待していますし,その実現を図っていきます。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕
◆小柳聡 最後のテーマとして,幅広く市民から政策に対しての意見を集約する方法の一つであるパブリックコメントについてお伺いします。
本市では,市民意見提出手続条例を制定し,市民の市政に対する意見,提案の機会を確保するとともに,政策決定プロセスへの市民参画をより一層推進するための手続を担保しています。このパブリックコメントに対して本市の認識をお伺いします。
また,あわせて本市の現状についてもお聞かせください。
また,パブリックコメントの数,質についても考える必要があります。パブリックコメントを受け付けているウエブサイトを確認しますと非常に多くの施策がパブリックコメントの対象となっていることがわかります。しかし,数多くあるもののうちほとんどコメントが寄せられていないものもあります。例えば協働の指針(案),これは市民と行政がより協働を進めていくための指針案なのですが,コメント数が1となっています。協働を対象としたものにもかかわらずコメントが1つしか来ていないのは非常に寂しい限りです。
対象とする市民の方にいかにして知ってもらいコメントをもらうか,つまりコミットメントをふやせるかどうかは市民の皆様のその施策への今後のかかわり方に大きくかかわってきます。今回の協働の指針(案)などのようにコメント数が少ない事例が見受けられますが,その点について見解をお伺いします。
また,より多くの市民の皆様から関心を持ってもらうため,どうやったら多くパブリックコメントをいただけるのかも考える必要があります。例えば京都市では自転車の総合計画見直しについて多くの市民の皆様から関心を持ってもらうため,企業とタイアップしキャンペーンサイトの立ち上げ,プレゼントなどの仕組みを構築し,結果的に560名以上からコメントをいただくことができたとのことです。
先ほども申し上げましたが,パブリックコメントをもらうことは目的ではありません。パブリックコメントを施策に反映させ,より多くの市民の皆様が納得した条例を一緒につくっていくことが目的のはずです。こういった観点からより多くの方から意見をいただくための仕組みを検討する必要があると考えますが,この点についての見解をお聞かせください。
○議長(高橋三義) 井崎市民生活部長。
〔井崎規之市民生活部長 登壇〕
◎市民生活部長(井崎規之) パブリックコメントについてお答えします。
初めに,基本認識についてですが,パブリックコメントは本市の政策形成過程における公平性の確保や透明性の向上を図るとともに,市民の市政への参画を促進し,開かれた市政運営及び協働のまちづくりを推進することを目的として実施するもので,市民の皆様の多様な意見を集約するための有効な手段であると認識しています。
次に,本市の現状についてです。
パブリックコメントを実施する際にはホームページへの掲載のほか,各区役所や出張所,市政情報室など市の施設に案を設置し,御意見を頂戴しています。案件によっては,例えば保育園に関する案件であれば市立保育園に加え私立の保育園に,放課後児童クラブの案件であれば民設の放課後児童クラブなど市の施設以外にも拡大して設置しているところです。
また,市民への周知についてはホームページや市報にいがたへ掲載のほか,報道機関への情報提供やテレビ,ラジオの市広報番組の活用など,幅広い皆様から御意見をいただけるよう努めているところです。
平成26年度の実績については,実施件数43件に対して245人の市民の方から全部で543件の御意見を頂戴し,1件当たりの提出数としては約13件という状況です。
次に,パブリックコメントの件数が少ないものについてです。
パブリックコメントの実施に当たっては,多くの案件において事前に自治協議会や地域コミュニティ協議会,関係する団体などと十分な意見交換を行った上で原案を作成しています。御指摘の協働の指針(案)においても地域コミュニティ協議会や自治協議会の委員の皆様,NPOの皆様といった現場で協働を実践されている方々の御意見をお聞きする検討委員会を立ち上げ,活発な意見交換を行ったほか,各区の自治協議会に出向き,御意見を伺った上で原案を作成したところです。
このような丁寧な策定プロセスを経ることで条例に基づいたパブリックコメントでは意見数が少なくなっていることにつながっているのではないかと考えています。
次に,パブリックコメントの増加策についてです。
幅広い年代の方々から多様な御意見をいただくためには設置場所の工夫や広報の強化などが必要であると考えており,今後は他都市の先行事例なども参考にしながらパブリックコメント制度の一層の充実を図っていきます。
〔小柳 聡議員 発言の許可を求む〕