盛り上がりにかける新潟市長選挙 いよいよ明日投票

いよいよ明日が新潟市長選挙の投票日となりました。街頭演説を見学に行きましたが、各候補者も演説に一段と熱が入ってきたようです。しかし、具体的な政策がでてこず、争点があいまいなまま選挙戦を終えることになりそうなのが、非常に残念です。

この選挙は(1)BRT(新バス交通システム)導入の是非、(2)水と土の芸術祭の継続の是非の2つが主な争点となっているのは、間違いないと思います。その点に関しては、双方の主張を聞くことにより、私たち市民の理解も深まったのではないかと思います。しかしながら、BRTに関しては議会で導入が決まっている事業です。今更争点になることに違和感を覚えます。今回は、BRT導入の目的について考えてみたいと思います。

新潟市のHPにはBRTについて次のような説明があります。

多くの都市機能が集中している都心部においては、マイカーを使わなくても移動しやすいサービスレベルの高い交通環境を整備していくため、新たな交通システム「BRT(Bus Rapid Transit)」の導入に向けた取り組みを進めています。

つまり、あくまで都市部(中央区)にターゲットを当てた政策であるといえます。また、次の併せて次のような記載もあります。

BRTの導入と併せて乗り換え拠点などを整備し、まちなかのバス路線を効率的に再編・集約し、生じた余力を郊外路線の維持・拡充にあてながら、全市的なバス路線再編を図る「新バスシステム」により、将来にわたって持続する公共交通の実現を目指します。」

つまり、BRTは(1)都市部内での移動環境の整備(2)全市的な公共交通システムの再構築、の2つの目的が複合された政策であるといえます。

この2つの目的のために、BRTという政策が妥当かなのかを議論すべきであるといえます。現市長の説明の中には(2)に重点が置かれているようです。説明では、BRT導入により、5年間既存のバス路線を維持、1日470便を郊外路線として新設の2つが可能である旨、説明があります。(しのだ昭後援会公式サイトより)

ここで考えなくてはいけないのは、あくまで、「バス」路線を中心にした公共交通システムとなっている点です。現在、新潟市内の移動手段の分担率では、自家用車が約6割、電車が約3割、バスが約1割となっています。この「1割部分」に焦点を当てているのが、現状のBRT事業です。

また、バスを必要としている人がどういった人たちなのか、どの地域の人なのかを考える必要あります。都市部内であればバスでの移動は適していますが、各区に拡がった集落地域での利用には適していません。人口の少ない地域では便数も減ってしまい、結果として利便性も下がってしまいます。北区、南区、西蒲区などのように、郊外に集落地域が点在している地域では、バスで解決できる問題は少なく、コンパクトシティを含めて街づくりの問題だといえます。

人口減少、少子高齢化がますます加速していく中、交通弱者の足をどう確保するのかは避けては通れない課題の1つです。「生活」する上での交通の足は欠かせません。これらのことを考えると、公共交通システムの再構築だけでなく、街づくりの再構築が必要であることがわかります。どういった街をつくっていくのかが、今後の最大の課題です。もちろん、各区、各地域単位で住民が参加してデザインしていくことは欠かせません。

残念ながら、今回の選挙で問題になっているのは「BRTにお金を使うことの是非」でしかありません。「税金の無駄遣い」だけでこの問題をすませようとしています。これから先、避けては通れないこの街づくりの問題を議論せずに、論戦を展開する候補者の姿は、我々市民をバカにしているようにしかみえません。

明日の投票で有権者の審判が下されます。勝った負けたではなく、市民一人一人の投票の意味を、各候補者には受け止めてほしいと思います。