総務常任委員会の視察で松山市、福岡市へ〜投票率向上とために必要なのとは?〜
総務常任委員会の行政視察として、愛媛県松山市、福岡県福岡市に行って参りました。
松山市では、選挙コンシェルジュについて話を伺いました。選挙コンシュルジュとは、投票に行くまでの案内をする地元大学生を中心とした団体で、選挙啓発を学生自身が企画、運営しています。
松山市では、平成22年から、若年層の投票率を上げるため、市選挙管理委員会と地元大学生がコンビを組み、会議体を設置し議論してきました。大学生が選挙に行かない理由として、(1)住民票がない、(2)投票所がどこにあるかわからないなどの理由があることがわかったそうです。そこで、地元大学との協議を通じて、大学内への期日前投票所の設置を実現しました。これは当時全国初の取組だったとのことです。その後大型商業施設へも設置しています。
また、大学生が主体となり、小中高校などへの出前授業を通じた主権者教育の実施、選挙啓発ポスターの作成、投票所のイメージを変えるための投票所のデザイン変更など様々な取組を実施し、結果として20代の投票率が平成22年の26%から平成28年の30%に上昇したようです。
新潟市では、大型商業施設、大学いずれの施設でも期日前投票所の設置が実現していません。議会でも度々議論になっていますが、専用のオンライン回線設置にコストがかかるため予算上困難だとして、前に進んでいません。
松山市では二重投票防止のオンライン回線設置はコストがかかるため、逐一電話での問い合わせで対応しているとのことです。また、行政サービスコーナーがある大型商業施設では、オンライン回線があるため、その回線を使うことで期日前投票所の設置が可能になったとのことです。知恵を絞りながら、取組を前に進めた結果の投票率上昇であったことがよくわかりました。
他の政令市をみても、京都市、神戸市、浜松市、千葉市などで大型商業施設への期日前投票所の設置は実現しています。今回の参議院議員通常選挙でも、投票率が前回に比べ5ポイント程下がり、特に若者の投票率低下が問題視されています。
選挙の意義について理解を深める主権者教育を進めることは勿論のこと、投票のハードルを下げることも必要だと改めて感じました。
同時に、今回の選挙でも改めて感じましたが、選挙戦で誹謗中傷ばかりするのではなく、地味でも政策議論を堂々と進めるべきです。国民は誹謗中傷合戦に嫌気がさしているのではないでしょうか。有権者が知りたいのは、どういった政策をこれからその候補者が進めていこうとしているのか、どういった政治的スタンスをもっているのかではないでしょうか。そして、マスメディアも、与党対野党といった構図だけでなく、政策について丁寧に掘り下げるべきです。
民主主義にはコストがかかります。私たちはその努力を怠ってはいけないのです。
これだけ価値観が多様化している時代に、争点の単純化は有権者間の分断を招き、自分たちの声が届いていないと感じる層には政治的関心を薄めてしまう可能性もあります。
制度的な課題だけでなく、自分自身も含め政治家、政党、マスメディアなど政治に関わる関係者の政治への向き合い方について、改めて考えるきっかけになり、とても勉強になった有意義な時間でした。ご協力頂いた松山市選挙管理委員会様、ありがとうございました。