(ロシア視察レポート③)野菜の温室栽培を実施している「JGCエヴァーグリーン」社を訪問
日系企業のロシア進出の成功事例として、
面会者:JGCエヴァーグリーン社 社長 五十嵐知之
【施設概要】
・ハバロフスク市郊外の工業団地内にある野菜の温室栽培施設
・現在2.5haで80名が働いている。→将来的には10haで180名の雇用を予定
・施設の建設費は3億ルーブル(政府からの補助金はなし)
・2年目までは赤字、3年目から稼働を増やし黒字化の予定
・10ha以上の規模拡大のためには、本社からの出資が必要
・緯度が低いため、日当たりがよくなく、日照時間も短いため、
・野菜の種はオランダから仕入れ、育てている
・高所作業車にのり、作業を行なっている
・24時間体制でオペレーターが管理している
・天井にお湯を流しており、雪を感知すると溶かすようになっている
・肥料は巨大タンクから各施設に送り、
【宣伝・販売促進】
・露地物がでてくるため夏場は休みとなっている。
・当初は外国企業ということで、メデイアへの露出がかなりあった
・現在も外国企業の成功例として広く紹介されている
【マーケットの状況】
・極東地域の住民の味の嗜好性が高まっている
・中国産より健康意識の高さから日本製が好まれている
・ダーチャでの自家栽培が一番美味しいという意識あり
※市場で直売所を訪問し、
【つくっている種類】
トマト、きゆうり
※パプリカはまだ収穫に至っていない
【出荷先】
スーパー、レストラン、直売所
→3つの規格に分けている
【販売状況】
・商品を中国産と間違われないよう、
・キュウリの店頭での販売では、1キロあたり200ルーブル、
【雇用状況】
・エンジニア6人
・農作業29人
・平均月収は5万円
・全員正規採用(ロシアでは法律により全員正規採用が義務付け)
・ピーク時にあわせ雇用している
→閑散期には人が余るのが課題
【課題】
・人をどう使うか
・ガス代をいかに抑えるか
→サハリン経由のガスを買っているが、ロシア他地域ではより安価
【今後の展望】
・外食レストランへの出荷拡大
・中国など近隣国への輸出
・消費者へのネット販売
・労働者をどう確保していくか
【所見】
広大なロシアの土地を利用して、大規模な野菜の温室栽培は、
一方、ロシア特有の課題として、労働者をいかに確保するか、頻繁に変更される規則にどう対応するかなど、超えなくてはいけないハードルは多く存在するのも事実である。現地でのビジネス支援をいかに丁寧に行っていくかが、極東でのビジネス展開には欠かせないと感じた。